アップアップガールズ(仮)、聖地・中野へ帰還

 立地条件と音響環境に優れたホールとして、40年以上の長きにわたり、国内外のアーティストのライブ会場として使われてきた中野サンプラザ。惜しまれつつも数年後の解体が決まった中、6月1日に単独公演を開くことが決まったのが、アップアップガールズ(仮)、通称アプガだ。インディーズレーベル所属ということもあり、世間的な認知度は今ひとつながら抜群のパフォーマンス力で注目される7人組である。

 2月初頭のイベントで、この公演がサプライズ発表されると同時に、7人は悲鳴に近い歓声を上げ、中には赤子のように人目を憚らず号泣するメンバーも居た。アイドルグループのコンサートの大規模化が加速し、武道館やさいたまスーパーアリーナ、さらには国立競技場といった数万単位の動員も可能な大会場でのイベントも珍しくない昨今、中野サンプラザの収容人数はマックスで2000人ほど。しかしそこには、単にキャパシティの大きさだけでは比べることの出来ぬ思いが詰まっていた。

 実はハロープロジェクトの研修組織ハロプロエッグの出身である彼女たちにとって、サンプラザは初めて足を踏み入れる場ではなく、数年前まで何度も立っていた馴染みあるステージである。それゆえに以前から中野サンプラザはメンバーの間で目標として掲げられていた。そして誰よりも早くその地の名を公の場で口にしたのは、透明感のある歌声としなやかなダンスでパフォーマンスを牽引する佐保明梨であった。

 平均年齢19歳の彼女たちの多くが、モーニング娘。に憧れてハロプロエッグオーディションを受けたのは、なんと10年前の2004年までさかのぼる。

 1万を超える応募者の中から選ばれたのはわずか32名。しかし数百倍のオーディションを勝ち抜くだけでは、苛烈な競争社会であるアイドル業界において、まだスポットライトの当たる場所に立つことは許されなかった。エッグ同期の中から℃-uteの一員に抜擢されるものや、選抜グループ・THE ポッシボーとしてデビューするものも出る中、エッグメンバーだけで大会場でライブを行なったり、モーニング娘。など先輩のバックダンサーとして、中野サンプラザ、さらには代々木体育館や横浜アリーナなどステージに立つようにもなった。

 いつか自分たちもハロープロジェクトの一員としてカラフルなスポットライトを浴びる日が来ると信じ、少女たちは黙々とレッスンに励む日々が続いた。なお後に年に数人ずつメンバーは追加され、中には後にソロデビューする真野恵里菜、吉川友、またモーニング娘。やスマイレージ、Juice=Juiceとなるメンバー等も含まれ、定期公演の人気も高まっていった。後にアプガの一員となるエッグメンバー内でも、「音楽ガッタス」(※吉澤ひとみや里田まい等をフィーチャーしたユニット)のメンバーとしてCDデビューを飾った仙石みなみ、舞台での演技が認められ仕事の幅を広げた森咲樹など、徐々に栄光へと近づくものも居た。

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