激化するアイドルの特典商法ビジネス CD100枚購入でも「安い!」の声

kamikairinx0807main.jpg※イメージ画像:『神回シンドローム~夢~』リンクス

 AKB48が握手券や選抜総選挙の投票券をCDにつけて成功したことがきっかけとなり、アイドル界を中心に過熱している特典商法。その極めつけともいえる購入特典を発表したアイドルグループが話題になり、賛否両論が巻き起こっている。

 通常は「複数買いで投票券を大量入手したい」「封入された生写真を全種集めたい」「握手会で長時間アイドルを独占したい」などの理由でファンの複数買いは行われる。複数買いを暗に奨励しているとはいえ、あくまで複数買いを前提にしたものではないという“建前”が基本的には守られていた。

 ところが、それを打ち破るアイドルグループが現れた。昨年3月に結成され「TOKYO IDOL FESTIVAL」などにも出演した5人組アイドルグループ・リンクスが、CD予約イベントで「10枚購入特典」「50枚購入特典」「100枚購入特典」を発表したのだ。

 公式ブログなどによると、同イベントは8月9日に東京・秋葉原で27日発売の2ndシングル『ホメノビ☆ジャパンダ/甘いミント』の予約イベントとして開催。CD1枚を予約するごとに特典券が渡され、1枚で合同握手会参加、2枚で個別2ショットチェキ撮影、3枚でユニット全員との集合チェキが撮影できる。このくらいであれば他にもやっているアイドルグループは大勢いるが、話題になっているのはこの後だ。

 10枚予約で「個別指名チェキ10枚(サイン付)+全員サイン付ワイドチェキ1枚(2ショット・グループ可) 」が特典となり、50枚予約すると「レッスン見学(2H・サイン付記念チェキ5人分付)+10枚同時購入と同等特典×3」の権利が与えられる。さらに、100枚予約すると「逆ワンマンライブご招待(60分)+お茶会30分+自前カメラ撮影自由+チェキ・ワイドチェキ無料パス発行(有効期限あり)」という特典が得られる。対象シングルは初回限定版が定価1,500円、通常版が定価1,000円。通常版で100枚購入すれば計10万円という計算になる。

 このイベント概要が発表されると、ネット上のアイドルファンの間で賛否両論が巻き起こった。「最初から枚数ごとの特典を決めるなんてエグすぎ」「同じCDを何枚も買わせること前提って…」といった批判がある一方、「10万でこれだけ特典あったら安い」「何百万も使うAKBファンに比べれば全然マシ」「たった10万で自分一人のためにライブしてくれるなんて」「自分がファンだったら絶対100枚買ってる」という好意的な意見も多く挙がっている。

 異常な大量買いに特典をつけているのはリンクスに限った話ではないようだ。九州を中心に活動するアイドルグループ・HRは、9月11日発売の3rdシングル「全力ジャンプ!」のオンラインショップ限定の“まとめ買い特典”を発表。初回限定盤4種と通常版1種の5枚をワンセットとし、5セット(25枚=3万円)でメンバーからの直筆手紙、10セット(50枚=6万円)でメンバー着用のTシャツ、20セット(100枚=12万円)でメンバーが着用した制服衣装を先着でプレゼントするなどの特典をつけている。

 アイドルブームでグループが各地に増殖し、生存競争が激化したことで特典商法も過激化しているようだ。他人から異常に見えたとしても特典の価値はファンが判断するものであり、CDが売れない時代に合ったビジネス形態という見方もある。だが、こういったサービスが行き過ぎれば「キャバクラ商法」と揶揄されることにもなるだろう。特典ほしさに大量購入したCDがゴミとして出されているという悲しい報告もある。この流れはアイドルブーム終焉の象徴なのか、新時代の幕開けなのか、いずれにせよ今後も特典ビジネスの進化から目が離せなさそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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