社畜たちの、せめてもの【エロ】抵抗

※イメージ画像 photo by Thin Glass from flickr

 今年も残すところ2カ月弱、ぼちぼち「流行語大賞」の話題が出始める頃である。昨年は、「なでしこジャパン」「絆」「スマホ」などがランクインした。2012年の流行語大賞候補といったら、なんといっても「ワイルドだろぉ?」、次いで「ノマド」「社畜」といったところか。

 社畜とは、「会社+家畜」が元になっている造語である。己の意志を封印し、会社の利益だけのために身を粉にして働くサラリーマンという意。昭和の時代は、そういったビジネススタイルにある人々は「企業戦士」と呼ばれ、もてはやされたが、今では皮肉たっぷりに「社畜」と呼ぶのが主流のようだ。

 社畜の特徴としては、「有給未消化は当たり前」「サービス残業に疑問を持たない」「仕事量は増える一方なのに何年も昇給していない」などなど。これを読んで、「自分は違うと思っていたが、もしかしたら社畜かもしれない」と気づく人も少なくないはずだ。

 しかし、社畜状態が気に入らないからといって、簡単に辞められないのが辛いところである。会社を辞めて、すぐに新しい仕事が見つかるとは思えない。よって、当分は今の会社で我慢するしかないわけだが、「有給使わせてください」「定時で帰らせてください」とは口が裂けても言えない状況に、閉塞感を抱いている人も多いだろう。

 だが社畜の中にも、「せめてもの抵抗」を試みる者たちが存在する。といっても、ストライキを起こすという意味ではない。会社に気付かれない範囲で、自己流でストレスを発散することが可能というのだ。社畜男性から意見を募ったところ、「社内でオナニーをする際は、ここぞとばかりにトイレットペーパーをたっぷり使う」という声がダントツ首位だった。残業中、貸切状態のトイレで思う存分性欲発散し、惜しげもなくトイレットペーパーを使う。エコの観点からは褒められた行為ではないが、それでストレスが緩和されるのなら安いものだろう。

 残業が終電過ぎまで続いた際は、ビジネスホテルの利用を認めている会社も存在するが、あえてラブホテルに宿泊したと語る社畜男性も。連日の残業で疲労度がマックスだったため、どうしてもジャグジーに浸かりたかったという。確かに、ビジネスホテルよりもラブホテルのほうがバスタブは大きいので疲れがとれるのだろう。なお、そこにデリヘルを呼ぶほどの活力は残っていなかったようだ。

 反対に、社員寮にデリヘルを呼ぶのはしょっちゅうという社畜男性もいた。独身者専用の社員寮は、外部者を招き入れるのは基本的に禁止になっている。しかし、そこに暮らす独身社員たちは多忙で自分以外の生活に介入する余裕すらないため、堂々とデリヘルが呼べるらしい。なお、最近では社宅のことを「家畜小屋」と呼ぶそうだ。徹底した自虐ネタである。

 「激務でカノジョを作るヒマすらない」というのも社畜の悩みである。そうなると、おのずと社内の女性に目が行くのは当然のようだ。「少ない給料をエロ本やAVに注ぎ込むのも惜しいので、オカズは女性社員をひたすら視姦」という人もいれば、実際に肉体関係を持った強者も。手当たり次第に声をかけ、最終的には同フロアの女性社員全員と肉体関係になっていたという。おそらく、女性社員側も(性欲が)溜まっていたのだろう。社畜は男性のみとは限らない。女性とて、オーバーワークで彼氏を作るヒマがなかったりするのだ。手っ取り早く性欲を発散させるには、同僚男性がお手頃だったということか。

 社員旅行で海外に行くと、男性社員のほとんどが各々、現地風俗に直行するという証言も飛び出した。「社員旅行があるだけマシではないか」と思う人もいるだろうが、行きたくもない社員旅行に半強制的に参加させられるのも辛いようだ。そのストレスか、目的地に着くなり、男性社員たちは蜘蛛の子を散らすように現地風俗へ赴くという。

 ここに挙げたのはほんの一例だが、社畜ストレスを発散する方法は決してゼロではないことがわかった。景気が上向きになるまでの辛抱と思い、社畜生活に工夫を施す精神こそ、現代社会を生き抜く術なのだろう。
(文=菊池 美佳子)

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