大津イジメ問題で誤情報を流したデヴィ夫人が逆ギレ「逆告訴します!」

 大津市の中学生がイジメによって自殺したとされる問題に関連して、2日にタレントのデヴィ夫人が訴えられる可能性があることを一部メディアが報じた。

 訴えを起こすのは、兵庫県在住のスタイリストAさん。デヴィ夫人は7月10日に自身のブログ『デヴィの独り言 独断と偏見』で大津市イジメ自殺問題に怒りをあらわにし、ネット上で拡散されていた加害者グループや関係者の顔写真や実名を掲載。本当の情報もあったが、デヴィ夫人はネット上のデマもそのまま転載していた。加害少年の一人とされた画像は有名なネタ画像「チャリで来た」の少年であり、加害者の祖父が元警察官で病院に天下っているという情報や加害者の母親が地元女性団体の会長であるという情報も全くのデタラメだった。

 その中で、加害者の父親とされる男性と一緒に写っていたのがAさんだった。写真には「とんでもないのが母親の×××(原文では個人名)」「自分の息子を人権侵害もはなはだしいリンチ同様な事を平気でする人間に育て上げるとは!」という文章が添えられており、直接名ざしはしていないものの、Aさんが加害者の母親であるようにも読みとれる。

 驚いたAさんは弁護士に相談し、謝罪文の掲載と損害賠償を求める通知書を7月下旬にデヴィ夫人に送付した。しかし、デヴィ夫人は「損害賠償を請求するのは筋違い」「言い掛かりで金銭を取ろうとする行為であると感じられます」などと返答。誠意が感じられないとして、Aさん側は損害賠償を求める民事訴訟を起こすことを決めたという。

 この一件がメディアで報じられると、デヴィ夫人は2日付のブログで「売られたケンカは買いましょう!私は逆告訴します!」と題し、「何故 悪意も何もない私が、提訴されなければならないのか?」「自分が母親でないことより、『いじめ』を認めない加害者の親を批判することの方が 信頼回復につながると思います」と逆ギレ。さらに、記事を掲載した夕刊フジ、スポニチ、Aさんを逆告訴することを検討していると明かした。

 デヴィ夫人はAさんに損害を与えていないと主張し、「例え 万が一、私のブログにより Aさんを加害者の母親だと誤解した人がいても、日本の人口1億3千万人から Aさんと割り出し、居住地を探し当てて、非難できる筈がなく、よって 社会的評価の下落も存在しません」と記している。だが、ネットに一度書きこまれた情報は無限に拡散し、全ての書き込みを完全に修正することはできない。加害者の父親と一緒に写真に収まっていたというだけで何の落ち度もない人物が、僅かでも名誉を傷つけられたり生活に支障が出るようなことがあれば、十分に告訴の理由になるだろう。

 有名人という立場でありながら、大手マスコミですら及び腰になる事件に対して義憤にかられて切り込んでいったデヴィ夫人の正義感は立派である。しかし、それが行き過ぎれば魔女狩りにも通じるような無差別的リンチになる。ネットは個人発信であっても立派な「メディア」であり、やりようによっては大きな影響力を持つことが出来る。だが、力が大きいからこそ使い方に注意しなくてはならない。

 デヴィ夫人はブログに「ネットの事はよく知らない、わからない私の落度はあっても」と記しているが、ネットに対する理解が乏しいのなら、より慎重になるべきだったろう。現実世界であれば、よく分からないものを使うときは慎重になるはずである。お年寄りがネットを使ってやったことだから、と許される問題ではない。

 もちろん、イジメは許しがたい行為であり、学校や教育委員会の隠蔽体質に怒りが沸くのも当然だ。少年事件ということでメディア報道が遠慮がちになり、情報公開が遅れているのも人々の怒りが高まる原因になっている。だからといって、正義感の暴走によって何の罪もない人を憶測で晒しものにしていいわけではない。

 この一連の騒動は、ネットの在り方や“正義の恐ろしさ”といった問題にも一石を投じたといえるだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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