ナンチャン・恵・加藤、勝ち組芸人に見る二番手の法則

 テレビで活躍するお笑い芸人にとって、大きな目標であるのがゴールデンタイムでの冠番組。しかし近年、それ以上の目標とされるものがあるという。それは午前中から昼間の時間帯にかけての帯番組だ。現在、芸人でそういった番組を担当しているのは、ウッチャンナンチャンの南原清隆と極楽とんぼの加藤浩次、ホンジャマカの恵俊彰、そしてタモリという4名。他にも、曜日限定でいえば『PON!』(日本テレビ系)のビビる大木やますだおかだの岡田圭右などが挙げられるが、あくまでもキー局による平日の帯となると上記の4名となる。

「以前、ある番組でタレントの知名度ランキングを独自に調査したんですが、その中で圧倒的に知名度が高かったのがタモリさんでした。あれだけ長くお昼の番組をやっているのだから当たり前といえば当たり前かもしれませんが、普段家ではテレビを見ない人も、ランチのときなどに目にするのでしょうね」(放送作家)

 芸能人にとってもっとも大事なステータスといえる知名度。それを稼ぐのには、昼間の帯番組が最適だという。さらに、また別の関係者は、すぐ終わってしまうゴールデンタイムでの冠なんかより、朝昼の番組のほうがタレントにとっては何倍もおいしいと指摘する。

「いくらゴールデンタイムで冠番組を担当しても、数字が悪ければ即打ち切りですからね。そうなっては、逆にゴールデンなんてやらなきゃよかったなんてことにもなりかねませんよ。その点、朝や昼間のテレビというのは、基本的に”ながら見”です。どんな番組構成でも数字はある程度稼げますし、なんといってもゴールデンなんかと違って競争がシビアじゃありませんからね。プレッシャーも少なく、継続性があって、タレントの誰もが朝や昼の帯番組を持ちたいと思っているでしょう」(業界関係者)

 ゴールデンタイムでのメインMCともなれば1本数百万円というギャラが発生するテレビ出演料。昼間の時間帯の帯番組では、その5分の1から10分の1程度だというが、それでも毎日となれば、帯番組のほうが稼げるのはいうまでもない。しかもそれがある程度の継続性が約束されているとなると、多くのタレントがゴールデンタイムでの冠より朝昼の帯番組を目標にするのも頷ける。

 とはいえ朝昼の帯番組という枠は限られている。情報系の番組の多くは、フリーもしくは局のアナウンサーが担当しているし、ジャニーズ勢も強い。芸人がそこに入り込むには至難の技といえるかもしれない。しかし、今のお笑い芸人たちの活躍を考えれば、さらに彼らが担当する帯番組が増えるのは必至。ではいったいどんなタイプの芸人がふさわしいのだろうか。

 現在帯番組を担当している南原、加藤、恵に共通するのは、彼らが同世代芸人の中で2番手という点ではないだろうか。お笑い第三世代に分類される南原、恵という2人は、同世代にとんねるずやダウンタウンというコンビがいるし、第四世代の加藤にはナインティナインがいる。もちろん彼らも売れっ子となった一流芸人であることに変わりはないが、それでもとんねるずやナインティナインに後塵を拝しているのは誰もが認めるところだろう。

 ではなぜその2番手の彼らが帯番組を持つことができたのだろうか。いくつか理由は挙げられるだろうが、大きな要因の1つはギャラだろう。そしてもう1つがソロでの活動のし易さといえる。いうまでもなく、前記した3名は芸歴20年以上のベテランで、現在ではほとんどコンビとしてのテレビ活動をしていない(加藤は少し事情がことなるが)。このことは、未だに各世代に君臨するトップ芸人たちがそれぞれコンビで活躍しているのに対して、大きな違いといえるだろう。やはり帯番組を持つということは、コンビでの活動に支障をきたしてしまうということなのかもしれない。

 ゴールデンタイムでのメインMCともなれば1本数百万円というギャラが発生するテレビ出演料。朝昼の帯番組のギャラはその5分の1とも10分の1ともいわれているが、プレッシャーの少ない中で継続性のある番組というのは、先行きの不透明な芸能界に生きるタレントにとって大きな目標であるのは間違いない。次にその夢を掴むのは誰になるのだろうか。きっと、2番手で今後コンビとしての活動がおざなりになるであろう芸人が第二の”はなまる御殿”を建てるだろう。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門』

 
やっぱ偉大だよね!

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