現代のポップアイコン・きゃりーぱみゅぱみゅは日本のガガになれるのか

 きゃりーぱみゅぱみゅ、昭和生まれのメンズには聞き慣れぬ名前かもしれないが、この風変わりな名を持つ女の子が、いま女子中高生に最も注目される人物として話題である。彼女は原宿の路上にて撮影されたスナップ写真をファッション誌に掲載されたことを機に”青文字系”と呼ばれる女性誌「Zipper」(祥伝社)や「KERA!」(インデックス・コミュニケーションズ)を代表する人気読者モデルとなり、奇抜なファッションや変顔、”きゃり語”と呼ばれる独特な言語を使ったブログで若い女性に絶大な支持を受けている。ニコニコ動画での大人気冠番組や、自身プロデュースによるファッションアイテムの発売など精力的に活動しており、その人気は”原宿系ファッションの新しいカリスマ”として数多くのテレビ番組で取り上げられるほどである。

 そんな彼女が7月20日、iTunes Storeにて世界23ヵ国同時配信した楽曲「PONPONPON」が注目を集めている。Perfumeを手がけた中田ヤスタカのプロデュースによる中毒性の高いエレクトロポップであり、歌詞には”きゃり語”が散りばめられている。この楽曲がiTunes Storeエレクトロニックチャートにて日本で1位に、のみならず遠くフィンランドの同チャートでも1位、ベルギーやスウェーデンでもTOP10入りを果たしたのだ。これは日本人アーティストとして最高位の記録である。動画サイト上には国内だけでなく、海外からも多くの「歌ってみた」「踊ってみた」動画がアップされ、公式プロモーションビデオの再生回数が2週間で60万回を突破と尋常でない盛り上がり。動画には外国語でたくさんの絶賛コメントが書き込まれ、7月21日に初のライブ映像が配信されると国内外から3万人以上もの観客に視聴された。しかし、なぜこれほどまでに海外から高い評価を得ているのだろうか。

「『PONPONPON』は、やりすぎ感すら漂う恐ろしくポップな一曲。日本語詞ながら、言語の違いも乗り越える”ポンポン”や”ウェイウェイ”の連呼でキャッチーな音の鳴りを重視し、外国の方にも伝わったのでしょう。Perfumeで成功したヤスタカ氏も今回ばかりはきゃりーの世界観に引っ張られて制作したようで、彼女のキャラクターあってこその弾けた楽曲となっています。この曲はPerfumeのストイックで真面目なイメージでは歌いこなせませんから。またプロモーションビデオのファンシーかつサイケデリックなビジュアルもインパクト大です。アニメやゲーム、ファッションといった外国から見た日本のポップカルチャーのイメージを全て詰め込んだかのような濃い映像は、日本人ではなくむしろ外国人向けの仕様です。きゃりーのキッチュなルックス、時折はさみ込まれる変顔、ぶっ飛んだファッションセンスと言語感覚が、ヤスタカ氏の電波ソングすれすれの楽曲、ふざけたダンス、うるさいくらいの視覚エフェクトによって過剰なまでのポップさを纏っています」(芸能雑誌記者)

 このプロモーションビデオの中で彼女は、ジャパニーズポップカルチャーを体現する存在となっている。外国人はこの映像に、今や国際語となった”カワイイ”を見ているのだろう。きゃりーぱみゅぱみゅが持っているセンスは、外国人が日本に求めている文化的イメージと非常に相性が良い。海外で評価されたという事実、これは当然の結果と言えるかもしれない。

「彼女と同列で語られるべきぶっ飛んだ系アーティストといえば、やはり世界のレディー・ガガでしょう。常人では理解不能なファッションと過激なパフォーマンスで世界的な人気を誇るガガ様ですが、左肩の「TOKYO LOVE」というタトゥーが示す通り日本のポップカルチャーが大好き。きゃりーぱみゅぱみゅは現代日本のポップアイコンですから、ガガ様に勝負を挑めるのは世界できゃりーしかいないでしょう。ジャパニーズ”カワイイ”を、原宿そして日本のカルチャーを世界に発信できる無二の存在として期待できると思います」(同記者)

 時代の寵児となったきゃりーだが、ネット上では竹村桐子の名でジュニアアイドルとして活動していた黒歴史が出回っている。スク水姿で妹系のグラビア活動をしていたという事実はアンチファンの格好のネタである。また、彼女が使う前から若者の間やネット上で使われていた「デュクシ」や「ハァハァ」などのスラングが、”きゃり語”として彼女が生み出した言葉のようにメディアで扱われることへの批判の声も挙がっている。

「本人の意思とは関係なく多くを巻き込んで象徴となってしまう、時代を背負う存在とは得てしてそういったものです。信者と同時にアンチファンが増えるのは仕方のないこと。しかし彼女は、雑誌『non-no』(集英社)を敵に回す発言や、ブログのコメント欄や2ちゃんねるで自身の悪口を言うアンチファンに対してかなり過激な歯に衣着せぬコメントを残したことでも知られています。読モを出自とし、プロ意識が薄いまま知名度だけが急激に上がり影響力が高くなった今、発言には十分に気をつけるべきでしょう」(同記者)

 彼女の自由な発言は支持されるが、行き過ぎた発言には注意が必要だ。何はともあれ「PONPONPON」のプロモーションビデオに顕著な、チョコレートで何重にもコーティングしさらにデコラティブな添加物をぶっこんだ激甘砂糖菓子のような”カワイイ”という感性は、世界中に熱烈な中毒者を生む可能性を感じさせる。彼女は来たる8月17日に中田ヤスタカプロデュースによるデビューアルバム「もしもし原宿」の発売を控えている。あの街のあの交差点でチャンスを夢見ていた少女が全世界を注目させるストーリーにはまだ続きがある。彼女は名前の通り時代をきゃりーする、背負っていく存在となるのだろうか。
(文=佐藤大地)

『もしもし原宿(初回限定フォトブック仕様)』

 
伊集院光もラジオで褒めてましたね

amazon_associate_logo.jpg

 

『Oh! My God!! 原宿ガール』

 
oh! 鼻血ガール!!

amazon_associate_logo.jpg

men's Pick Up