『湯けむりに抱かれて~人妻旅情交尾~』南野あかり

 顔立ちは美しいが、微笑んでいてもどこか不安げ。24歳とは思えないほどに全身に生活臭が沁み込み、疲れた印象が拭えない若妻が、初めての不倫旅行へと出発するドキュメント作品。

 浮気経験もなく、「我慢するしかないですよね……ふふ」と、笑う彼女。なぜ、このような若妻が、AVに出演するのかと言えば、毎日の生活に苦悩しながらも、誰にも打ち明けられない鬱憤を晴らすため。だからこそ、彼女からは淫靡な匂いを感じてならない。絶対に、何かやってくれるはず。従順なだけの若妻ではないはずだ、と。

 その予感は早々に的中する。移動中の車の中で監督にバイブを手渡された瞬間、助手席の彼女の目の奥にスケベな火が灯る。言われるがままパンストを脱ぎ、パンティーも下してバイブをズコズコと出し入れする顔は、さっきまでの薄幸な若妻のそれではない。

 一度火が付いた女は、それからどんなに貞淑を装ってみても全てが無駄に終わる。旅館に到着するや全裸になるように指示された彼女は一言、「恥ずかしい……」。眉間にシワを寄せて目を潤めるが、どうみてもテレているようには見えない。その証拠に、肉棒を突きだされると、待ってましたとばかりにしゃぶりつき、口調も途端に甘えたようなものに変わる。こうなったらもう彼女はペットも同然。世間体など気にせずに、快楽にのみ忠実に従う雌に成り下がり、非日常的な悦楽に溺れていく。

 浴衣のまま荒っぽく乳房をまさぐられ、翌日には露天風呂で知り合った男を巻き込んでの3P。急展開に驚きはすれど、彼女は一度だって嬉しそうな顔をしない。でも、喘ぎ声だけは嘘をつけないようだ。監督に無茶を言われる度に、涎まみれの唇から艶めかしい声をあげ、快感をダダ漏らしにしていく。

 どこまで貪欲なのだろう。濃厚な精子を顔に受けてもまだ、渇望した目でカメラを見つめるこの若妻に、女の業の深さを知らされた。まだ不倫旅行作品に馴染みがない方にこそ、本作をお奨めしたい。ここまで人妻の旨味が濃縮された作品はとても貴重だから。喰わず嫌いは勿体ない!!
(文=文月みほ)
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