デフレ+酷暑=ガリガリ君!

年間2億本の売り上げ!! 今明かされる「ガリガリ君」のすべて

20100809garigari.jpg赤城乳業「ガリガリ君」スペシャルサイト「ガリガリ君祭り」より

 欧州・アメリカ・ロシア・中国と、北半球全体が謎の熱波に襲われている2010年・夏。本邦でもまた、6月から記録的な猛暑が続き、各地で熱中症による死者が相次いでいる。そんな中で、「ひとり勝ち」を展開している氷菓が、赤城乳業の販売する「ガリガリ君」だ。

 前年比25%増を上回るハイペースでの出荷がされているものの、それでも販売店では品薄が相次ぎ、発売元の赤城乳業が謝罪するという前代未聞の事態にまで発展している。メンズサイゾー読者諸兄の中にも、ガリガリ君という国民的アイスキャンデーを食べたことがない人はいないのではないかと思われる。そこで、今夏一番の流行アイテムであるガリガリ君について、その人気の秘密を探ってみたい。

 まず最初に思い浮かぶのが、味のバリエーションの豊富さ。2010年現在販売されているフレーバーは、「ガリガリ君リッチ」を含め11種類、姉妹品の「ガリ子ちゃん」「シャリシャリ君」を含めると計14種類。日替わりで1カ月アイスクリームを楽しめるサーティーワンアイスクリームの31種類には劣るものの、アイスキャンデーとしては他に例のない品揃えである。

 長年の改良の結果、絶妙な味付けにたどり着いている点も見逃せない。たとえば、「ガリガリ君リッチシリーズ」の「チョコチョコチョコチップ」味の場合、細かく砕いた落花生を配合することによってサクサク感を演出。定番の「ソーダ」味でも、あの独特の甘みが、実はりんご果汁によるものだと知る人は、そう多くないのではなかろうか。こういった「隠し味」要素も、ガリガリ君の人気の理由のうちのひとつである。

 また、ある意味「八方美人」な営業戦略も、奏功していると言える。

 2000年にテレビCMの放映を開始したのは、「女性に人気がない」という、唯一にして最大の弱点を克服するためだとか。同時に、キャラクターを手描きから3Dに変更、年を経るごとにガリガリ君の「美化」が進んでいる。そんな甲斐もあってか、現在での購買者の男女比は、男性7:女性3に。男性のほうが多数だが、年間2億本に迫る売り上げのガリガリ君のうち30%、つまり日本女性全体で、毎年6,000万本近くのガリガリ君を消費していると考えると、決してあなどれない。

 ロングセラーであるガリガリ君は芸能人にもファンが多く、かの中尾彬も、「ガリガリ君は最高のスイーツ」と高く評している。テレビ番組の中でガリガリ君が取り上げられることもしばしばだが、そんな折には、トークなどでガリガリ君を取り上げたタレントに対し、赤城乳業から箱単位でのガリガリ君が送られるという。

 近年では、メディア戦略を強化。アイスキャンデー以外の商品にも、ガリガリ君ブランドが進出している。マンガ、フィギュア、入浴剤、ゲームソフトなど、多くの媒体であのイガグリ頭を目にすることが可能となっている。06年には、発売開始25周年を祝してファンクラブ「ガリガリ部」が設立された。

 そんなガリガリ君だが、60円という安い価格は、1991年以来変わらず。発売開始当初(81年)の50円という価格と比べても、たった10円しか値上がりしていない。また、100本に2本のアタリが含まれていることも勘案すれば、1本あたりの値段は、実質的に60円未満ということになる。

 ただし赤城乳業は、「リッチシリーズ」のように、より高い価格帯の商品も展開している。それでも、売り上げの大半は本家ガリガリ君があげているようで、変わらぬ価格が、多くの消費者からの支持を受けているのは間違いないようだ。

 「牛丼250円戦争」に象徴されるような、今夏の「食費デフレ」もまた、追い風になっているに違いない。エアコンを駆動させる電気代と比べても、ガリガリ君は、割安な涼しさを提供してくれている。

 発売以来、着実に進歩を続けている製造技術によって、ガリガリ君の食べやすさが改良されていることにも触れておきたい。

 アイスキャンデーに包まれた、内部のかき氷部分の氷を、以前よりもきめ細やかにすることができるようになったのが、食べやすさにおける最大の進化だといえるだろう。たしかに、90年代に食べていたガリガリ君は「硬いアイスキャンデー」だったが、現在のガリガリ君は、力をこめずともサックリと噛めるほどの柔らかさになっている。

 とにかく、国民的氷菓の名声を一手に集めることとなった、ガリガリ君。

 1時間に2万1,000本の製造が可能な「ガリガリ君製造機」の実力をもってしても、国民の「ガリガリ欲」を満たすことができていないという現状に対し、製造元の赤城乳業は謝罪の書面をウェブサイトに掲示。同時に、埼玉県本庄市に新工場を建設、さらなる増産を目指している。これまでは同県の所沢市や深谷市で頻繁に目撃することができた、ガリガリ君運搬トレーラー(通称、「ガリトレ」)が、本庄市でも活躍することになるだろう。

 ちなみに、かつてガリガリ君には、妹の「ガリナちゃん」や、弟の「ソフト君」という家族がいたとされているが、現在ではその存在が公式には抹消されている(公式サイトのQ&Aによると、「家族は、ガリガリ君とガリ子ちゃんだけです」とのこと)。なお、姉妹商品に登場する「シャリシャリ君」は、ガリガリ君が変身した姿だということだ。

 だいぶ長くなったが、これが「ガリガリ君」についてのすべてである。酷暑にデフレと、ガリガリ君にとっては絶好の環境が整っているこの夏、ガリガリ君は間違いなく過去最高の売り上げを記録するハズ。

 来年はガリガリ君30周年を迎える節目の年。今でこそ生産体制が追いつかない事態になっているものの、増産を強め、日本同様に熱波に悩むアメリカやロシアにもガリガリ君を輸出すれば、あのイガグリ頭が、ワールド・スタンダードになる日が来るのかも!?

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