デヴィ夫人のブログで再び明るみに出たアメブロの「検閲」事情

deviameblo.jpgデヴィ夫人オフィシャルブログ「デヴィの独り言 独断と偏見」より

 今月23日、デヴィ夫人は北朝鮮についてブログに書いたことで、アメーバブログ側から携帯でのブログ閲覧を制限されたことに憤りを感じ、自身のブログのアメーバでの掲載を中止する、と発表した。

 ことの起こりは4月18日、デヴィ夫人はアメーバブログに『北朝鮮の旅、大いなる収穫 Part Ⅰ』というタイトルで、自身の訪朝の様子を多くの写真を交えて紹介したことだった。デヴィ夫人は「第12次金日成花 金正日花の祭典」に、元スカルノ大統領夫人として招かれ、インターネットビジネスで有名な川島和正氏など8名が同行した模様。

 その内容だが、さすが歯に衣着せぬ発言で知られるデヴィ夫人。われわれ日本人が見ることのない、生の(デヴィ夫人の目から見た)北朝鮮を伝えようと、”タブーなき発言”が炸裂し、「北朝鮮シンパ」ともとれる内容だ。まずは『日本の戦争犯罪 過去と現在』という本と、『消えない日本の犯罪』というDVDを通じて日本政府の近代史のねつ造を指摘。そして、「安倍晋三氏は私欲のために拉致事件について国民感情を利用している」と発言し、横田ご夫妻についても、「なぜ会いに行かないのでしょうか?」と批判。果てには、北朝鮮の核保有を正当化する発言までしている。

「多くの犠牲者をだした激しい戦いの後、勝利し、独立をかちとった金日成主席を、人々は敬慕・信奉してやまないのです。~高麗は、軍事力に欠け弱かったため、何百年もの間、度々中国に侵略されました。そして日本に全領土を占領された苦しみの経験から、軍事的に強固にならねばならないという一大決心をし、国の威信のために、核を所有しようとしているのです。すでにイランやパキスタン、インドも所有してます」(blog『デヴィの独り言独断と偏見』より引用)

 この記事に対するコメントは2010年4月26日の時点で28件。「〈一部ふさわしくない言葉・表現が、含まれている〉と表示され、ケータイからは見られない」という書き込みが相次いだ。その後の更新でも北朝鮮問題についてや、普天間移設の件に関してデヴィ節が炸裂し、コメント数も急増、賛否両論が飛び交ったが、23日、携帯電話の閲覧制限に加え、アメブロによってコメント操作もなされたとして、夫人はブログの掲載を中止すると発表した。

「コメントも、これまで私は、私の意見に賛成、不賛成の方、両方とも公平に自由に発表してきました。にもかかわらず、今回は故意に私を非難するコメントのみを選び突如流し続けたことに関して非常に憤りを感じます。その間、心ある方の意見を外すという、許されないことをしました」(同blogより引用)

 これが事実なら、アメーバブログは、blogの管理者として非常に公平性を欠いているといえる。だが、今現在の同blogではこれらの記事について、熱心な読者などからの肯定的なコメントの方が圧倒的に多いようにみえる。

 アメブロがブログのコメント操作をしているのではないかという告発は以前から相次いでいる。たとえば2008年5月、川田亜子アナウンサーの死亡が報じられた後も応援のコメントが延々と書き込まれたことから、アメブロが自動書き込みや何らかの操作を行っているのではないかと話題になったが、日刊スポーツの取材に対してアメブロ側はそのような事実はないと否定した(2008年5月28日の記事から)。川田アナのブログへの書き込みを停止し、自殺関連の書き込みを削除した結果、類似するコメントが並んだのだという。しかし同日、アメブロにブログをもつ橋本志穂が「コメントが勝手に削除される」という話を聞いて問い合わせてみた、とブログに記した。

そしたら、「あなたには、アメブロの担当者が監視をしていない。監視つけますか? イヤなコメントはコチラで削除させてもらいますよ」と。。。「え?!」ちょっと悩んだ。悩んで、お断りしました(blog『橋本志穂の部屋』2008年5月28日より引用)

 また同日、電撃ネットワークのギュウゾウ、2008年1月にはサンドウィッチマンの富澤も書き込みの削除に関して基準を明確にして欲しい、などアメブロを批判する発言をしていた。
 
 最近でも、読者からの「アメブロのコメント削除はやり過ぎだ」という声は多く、芸能人のブログに対する書き込みが全く反映されないなど、苦情が相次いでいる。他のアイドルや芸能人もそうだが、すべて自分に都合のいいコメントしか掲載されないようになっているため、中傷コメントに加え、正直な意見を書いただけのコメントも「作者にとって不快」と判断されればガンガン削除されているのではないだろうか。

 ただ、今回のデヴィ夫人のブログにおいても、夫人の言う通り「故意に私を非難するコメントのみを選び突如流し続けた」のだろうか? それとは逆に、ブログを見る限りでは、夫人の過激な発言に対して、不自然なほど肯定的なコメントばかりが並んでいる。そしてこれほど話題になったのにも関わらず、この一連の北朝鮮に関する記事へのコメントは一番多いもので72とやや少ないように感じられる。反対意見はどこへいったのか? もちろん削除隊が取り除いたのだろう。それでもハジききれないほど批判コメントが一時に集中して投稿されたため、それを目にしたデヴィ夫人は癇癪を起こした、という推測が一番妥当ではないだろうか。デヴィ夫人もどうせ怒るなら「反対意見も載せなさい!」と怒っていたらよかったのでは……。

 インターネット上のコミュニケーションはメール、掲示板、チャット、blog、Twitterと日々進化している。当初は誰でも、いつでも、何でも、自由に意見を表明できるのが利点とされていたが、それによる自殺サークル、殺人掲示板、学校裏サイト、個人に対する度を超えた誹謗中傷などの問題が相次ぎ、検閲の必要性が叫ばれるようになった。しかし、安易な検閲は簡単に「情報操作」につながるということを、管理者ばかりでなく利用者、読者が意識し、「メディアリテラシー(情報を識別する力)」を身につけなければ、この情報社会を生き抜くことはできないのかもしれない。

『デヴィの「ここまで言ってよろしいかしら」』

 
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