裸になって何が悪い! 日本に残されたヌーディストの聖地がついに消滅

1462004014_63e34c091c.jpg※イメージ画像 photo by The 2-Belo from flickr

 日本有数の温泉地、下呂市の「噴泉池」は下呂温泉のシンボルとも呼ばれている名湯だ。温泉街を流れる飛騨川の河原にあり、開放感はバツグン。下呂駅からもほど近く、休日中は昼間から多くの入湯客で賑わっている。そんな観光名所を巡って何やら硫黄臭い、もとい、きな臭い騒動が起こっている。

 開けた河原にあり、周囲に旅館の建ち並ぶ噴泉池では、入湯者の裸体は丸見えになってしまう。そのため「公衆の視界に入る露天風呂で全裸になることは、公然わいせつ罪にあたるおそれがある」として今年2月、市によって水着の着用が義務づけられてしまったのだ。

 これには全国の温泉好きが激怒。ネットやブログなどでは「邪道過ぎる」「水着で温泉に入ってもリラックスできない」といった反対の声が上がっている。また「水着を着用していては、掛け湯で局部を洗うこともできない」と、衛生上の問題を懸念する人も多い。

 1983年の設置以来、露天風呂の正しい嗜み方、つまり全裸での入浴を守ってきた噴泉池(女性に対しては水着の着用を許していたが)。それが突然、露天風呂としての清々しさを失ってしまったのは一体なぜか。

 そのきっかけは、地デジ大使SMAPの草彅剛が昨年四月に起こした公園全裸事件だ。「裸になって何が悪い!」の名言を残したあの不祥事の後、下呂署に「飛騨川にかかる下呂大橋から入浴姿が丸見えになるのは問題」とする投書があった。これを受けて市の観光課と下呂温泉事業協同組合が協議。昨年夏に温泉の周囲に、高さ約1.2メートルの囲いが敷設された。そして遂には全裸での入浴が制限され、露天風呂としての面白みが失われてしまったのだ。

 さて、この規制にショックを受けたのは、温泉ファンばかりではない。

「まさに『裸になって何が悪い!』ですよ! あそこは日本でも数少ない『公然と合法的に脱げる場所』だったのに!」(下呂の噴泉池を知るA氏)

今回取材に応じてくださったA氏は、開放的な場所で全裸になることをこよなく愛する者。いわゆるヌーディストだ。

「ああ、決して、裸を見られて性的に興奮するというワケではないんです。決して、ね。ただ、開放感が好きなんですよ。全身にくまなく外気の当たる感覚とか」(A氏)

 A氏によると、下呂の噴泉池は日本在住ヌーディストの聖地だったという。

「ドイツやオランダ、フランスのヌーディストビーチは、基本的に俗世界とは隔絶されているんですよ。一般の人に裸を見せない意味でも、覗きを防ぐ意味でも理想的。それが、噴泉池の場合は駅から5分程度のフツーの場所なんです。通行中の女性と目が合ってしまうこともしばしばあって、そういう時はさすがに照れました(笑)。下呂市には、このおおらかさを大事にして欲しかったんですけどねぇ」(A氏)

 ところで、海外ヌーディストビーチといえば、日本では「女性が全裸でくつろぐ浜辺」として楽園視されている。浜辺ではないものの、下呂の噴泉池は混浴であり、「全裸の男女の入浴」が楽しめる、数少ない場所であった。(混浴温泉のほとんどは、水着の着用を義務付けている。)

 また、海外のヌーディストビーチで全裸になった経験があるというある日本人女性はこう話す。

「乳首の露出もNGな日本の法律では、女性の露出は、男性よりも厳しく取り締まられていることになる。海外では、女性のトップレスを認める場所も増えている。セックスやストリップといったものではなく、自然な形で男女が全裸で出会う場所が必要だと思う。もともと、男女の混浴は日本固有の文化だし」

 話は変わるが、今年三月、岐阜県土地開発公社が下呂市にもつ土地約9万平方メートルの内、3分の2を用途未定で持てあましていることが判明した。現時点での含み損は23億円分になり、今後この損失は増えていくと予想されている。いっそ、この土地を一大ヌーディストエリアに変えてみてはいかがだろう。全国から集客を望める、観光スポットになるかもしれない。もろちん、PRキャラクターには日本を代表するトップアイドル、SMAPの草彅くんを……ってのはだめですか?

 

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