最終回

にっかつロマンポルノ回顧録(6) 次々と誕生した人気作品と女優

onnakyoushi_t.jpg『女教師 秘密』(製作:日活/監督:白鳥信一/公開1978年)
女教師シリーズ6作目。主演の女教師役は山口美也子

 団地妻や団鬼六のように、ロマンポルノでシリーズ化された人気作品は数多い。

 現在では定番ジャンルとして扱われるAV作品の多くも、もとを辿ればロマンポルノが築いた礎の上にあると言っても過言ではないだろう。

 なかでも女教師シリーズは、団地妻と並ぶ人気企画だった。

ama.jpgDVD-BOX『海女選集』(発売元:日活/
ジェネオンエンタテインメント)
夏の定番シリーズとして人気を博した

 同シリーズは1973年、田中登監督の『女教師 私生活』でスタートし、83年までに10作以上が製作された。健全な男子ならば、一度は学生時代に抱いた美人教師との妄想。ときに自ら女教師に迫り、ときに女教師から誘惑される……そんな願望が映像化された女教師シリーズは、過ぎ去った青春時代を思い出させてくれた。また、「男子高生との禁断の愛」という設定はメロドラマを彷彿とさせるストーリーが多く、女性層にも受け入れられやすかった。

 

 ほかにも、姉妹との近親相姦や女高生、看護婦などの男心を擽る設定が次々と生み出されていったが、意外な人気を集めたのが海女シリーズだ。

 港町に生きる海女たちの健康美は、夏の定番として多くのファンに支持された。なかには『色情海女 ふんどし祭り』(81年)のようなコメディーポルノも存在するが、ある意味、突き抜けた「わかりやすさ」が好評だった。

 また、シリーズだけでなく時代ごとに現れたポルノスターの登場も、映画館へと足を運ばせる要因となった。

hebinoana.jpg『団鬼六 蛇の穴』(配給:日活/
製作:鬼プロダクション/監督:藤井克彦/
公開:1983年)。クールビューティー
と呼ばれた朝比奈順子だが、
現場では気さくな人柄で知られていた

 端正な顔立ちで”クールビューティー”と呼ばれた志麻いづみや、”元タカラジェンヌ”という異色の経歴を持つ朝比奈順子は、中期を代表するポルノスターとなった。

 異色と言えば、”元祖ポルノアイドル”という独自の地位を築いた原悦子の存在も忘れられない。『平凡パンチ』のグラビアアイドルを経て成人映画に進出した原は、初々しい童顔と豊満な肉体で若年層の人気を獲得し、劇場に新たな観客層を招いた。

 しかし、こうしたロマンポルノの人気も次第に衰えていった。80年代に入り、一般家庭にビデオデッキが普及すると、人々の関心はAVへと移るようになったのだ。そして1988年6月、客足が伸び悩んだにっかつロマンポルノは、『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』を最後に、その17年の歴史に幕を下ろしたのである。

 さて、現在は製作されていないロマンポルノだが、当時の作品を上映している映画館が存在している。東京の「シネロマン池袋」や「新橋ロマン」、兵庫の「福原国際東映」など場所は限られてしまうが、昭和の”性春”を支えたにっかつロマンポルノ……久しぶりに劇場で観賞してみてはいかがだろうか。

 

ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み

 
ロマンポルノ最後の作品

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バックナンバー
【第1回】 「団地妻」から始まったロマンポルノの歴史
【第2回】 SMクイーンと団鬼六の世界
【第3回】 濡れ場を経験した女優たち
【第4回】 現実とは異なる虚構のレイプ作品
【第5回】 ロマンポルノの影響力