書体デザイナーさんに敬礼!

ショタコンではなく『しょたけん』! 良質な書体への愛あふれる同人誌

fontkenkyu.jpg『しょたけん 書体の研究 vol.4』
(サークル「ゆず屋」/山王丸榊)

「フォント(書体)萌え」……そんなジャンルが盛り上がっているらしい。美少女のみならず、工場だったり元素記号だったりに萌え萌えしちゃう昨今、「美麗な文字」にも萌え萌えする方が意外にも大勢いるようなのです。

 今、「とらのあな」で意外な人気を誇っているのが、あらゆるフォントを愛してやまない人々のための同人誌『しょたけん 書体の研究』(サークル「ゆず屋」/山王丸榊)。vol.1~3は完売で、今年の夏コミで発売したvol.4も既にソールドアウト!!

 第1弾を刊行したのは2008年の夏コミで、現在まで一貫してアニメ、マンガ、ライトノベルなどのタイトルロゴについて、どんな書体が使われているかを研究、分析、模倣するという極めてマニアックな内容です。最新刊では「アニメの文字は、ロゴだけじゃない!!」と高らかに謳い、アニメのOPやEDに流れる「てろっぷ」を特集しております。ちなみに取り上げている作品は『みなみけ』(テレビ東京系)『ドルアーガの塔』(独立UHF系)『あずまんが大王』(テレビ東京系)『バンブーブレード』(テレビ東京系)等々の人気作品。

 フォントといえば「明朝体」「ゴシック体」が汎用型ですが、いや実は世の中にはこんなにもたくさんのフォントがあふれているのかと驚きます。世界には一万種類以上、日本語だけでも1000種類以上ものフォントがあるわけで、それぞれ太さやハネ、トメの微細な違いで区別していたりもします。

 本著では『(これは)アドミーンの角を丸くしたり濁点の形状を変更すると言った修正を施した上で使用』等、分析が大変細かく、並々ならぬフォント愛が強く伝わってきます。そこで作者にフォントへの偏愛について伺ってみました。

山王丸 良質なフォントへの愛情を自覚したのは2年程前で、何か同人誌を作りたいなと考えたときに、フォントに特化したものがいいな、と思ったんです。それで「vol.1」を発行しました。

──あらゆる書体に精通してらっしゃるようですが、ひょっとしてデザイナーさん?

山王丸 いえいえ、本職はDTPやデザインとはまったく縁のない仕事です。『しょたけん』については純粋な趣味です。自分がDTPデザイン等の仕事をしていれば、必要に応じてフォントの自作に取り組むこともあったかもしれませんが、今のところもっぱら「使う方」専門です。

──いちばん好きな書体はなんですか?

山王丸 難しい質問ですが、あえて挙げるなら写研(註)の『スーシャ』と『ゴーシャ』です。残念ながらパソコン用のフォントとしての市販はされていないのですが……。

──比較すべきではないかもしれませんが、キャラよりも断然フォントに萌えますか?

山王丸 もちろんフォントの方に……と言いたいところですが、ごく普通にキャラの方が優先度は高いです(笑)。やはりマンガにしろライトノベルにしろ、ストーリーやキャラに魅力があってこそ面白くなるもので、書体やデザインというのは、そういった中身の魅力をサポートする小道具のようなものではないかと思います。そういう意味では、ごく普通のオタク的感覚で作品を楽しんでいます。

 ちなみにフォント萌え同人誌制作のために、ボーナスを全額投資したこともあるそうです。フォント愛に乾杯!

山王丸さんのフォント愛がわかるブログはこちら。ゆず屋

註:株式会社写研……写真植字機の開発に携わった石井茂吉が1924年に創業。日本の書体制作発展を担った歴史ある会社で、DTP全盛の今でも高い組版クオリティを誇っているのだ!

 

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