【ニッポンの裏風俗】時代と民家に飲み込まれるようにして消えたカフェー街


 女将に支払った料金は1万円だったと記憶している。女将が部屋を出ていき、10分ほどでやって来たのは、小柄で茶髪の巻き髪に、ヒョウ柄のカットソーを着た…熟女だった。

 


 手足は細ってシワが寄り、還暦はとうに超えている雰囲気。情報に見事に裏切られた瞬間だった。熟女の若作りは、逆に痛々しく思えた。

 その頃の筆者はまだ血気盛んだったが、分身は添い寝してもピクリともその気にならず、


「抱き合うのが好きなんです」

 そう誤魔化すのが精一杯な夜となった。


 その後も数回安浦の街を訪れたが、その度に街は住宅街化していき、ノスタルジーな残り香が漂う建物も減っていった。

 2004年には、街の黒歴史の幕引きのためなのか、駅名も「県立大学駅」に改称された。その背景に何か政治的なものがあったのではないかと勘ぐってしまうのが、風俗ライターのいやらしいところだ。なにせ、そんな街なのだから…。


(写真・文=松本雷太)


デリヘルからちょんの間までロマンの風俗旅『松本雷太のニッポン風俗総研』はコチラ

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