『ねるとん』『炎チャレ』『たけし城』…「視聴者参加型番組」が廃れた悲しい理由


「まず第一に、テレビに対して我々視聴者が抱く“夢の大きさ”が関係していると考えられます。例えば、『ニューヨークへ行きたいか~!』の掛け声で有名だった『アメリカ横断ウルトラクイズ』。番組が開始した1977年は、まだ海外旅行が珍しかった時代でした。データによれば、海外旅行をする日本人は年間わずか300万人ほどしかいなかったそうです。その憧れをかなえてくれるとあって番組も人気を博したのですが、90年代前半になると年間1000万人もの人々が海外旅行に出かけるようになった。つまりテレビの力を頼らなくても、簡単に世界に手が届くようになってしまったのです。また『アップダウンクイズ』や『クイズ100人に聞きました』の賞品は“ハワイ旅行”でしたが、これらとて、もはや番組に出て一喜一憂しなくてもプライベートでかなえられるようになったのです」

 そんな多くの視聴者に門戸を開いていたクイズ番組も、次第に単なる「クイズ好き」だけが参加する「難問クイズ」にシフト。視聴者も一時期は食いついていたが、やがて飽きられて離れていってしまったとも語る。

「視聴者参加型番組でもう一つ隆盛を誇ったのが、『あいのり』(フジテレビ系)や『ウンナンのホントコ!』(TBS系)内の人気コーナー『未来日記』のような、恋愛ドキュメント。しかし、一部出演者や関係者などによる相次ぐヤラセの告発は、視聴者の純粋なテレビの見方を変えてしまいました。と同時に制作者としても、そうした新しい恋愛番組を作ろうとするものの、結局芸能人のほうが動かしやすいと、素人企画の発案をあえて避けているきらいがある」(前出同)

 さらに今の時代、視聴者をテレビに出すことは、制作者にとっては、 個人情報保護の観点から、彼らを100%守り切れないとも指摘する。

「昔は『テレビに出ることこそステータス、テレビに出ると人気者になれる』という意識があったため、視聴者も何の躊躇もなくオーディションを受け、テレビマンも何の不安もなくそれを受け入れていたハズ。でも今や出れば何かとネットで叩かれたり、果ては名前や出身地などからSNSを探られ、個人情報が流出してしまう。そんな中で、視聴者参加型を謳う番組作りが非常に難しくなりつつあります」

 今年初頭、『NHKのど自慢』の合格者に必ず聞いていた「おところとお名前」をアナウンサーが聞かなくなった、とネットで騒がれたことがあった。現在は通常通り聞くようになっているようだが…。

 いずれにしても、これまではテレビに出て賞金がもらえたり、恋人ができるなどして人生が変わった視聴者にとって、これからのテレビ出演は、別の意味で人生が変わってしまう危険性もはらんでいる。憧れのオモチャ箱だったテレビは、対等いやもしくはそれ以下の目線で眺める、ただの家電製品か、ゲーム用のモニターになってしまったのかもしれない。
(文=今井良介)

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