リズムネタでブレイクの『8.6秒バズーカー』、テレビ業界の“ブラック化”の犠牲に?


 1980年代から1990年の中頃までは多くのお笑いオーディション番組がレギュラー放送され、そこからたくさんの芸人たちが巣立っていった。とんねるず、ウッチャンナンチャンらを輩出した『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)や、ダチョウ倶楽部、浅草キッドを送り出し、当時「ライト兄弟」というコンビ名だったダウンタウンも挑戦した『ザ・テレビ演芸』(テレビ朝日系)など、今や伝説として語られる番組も多い。爆笑問題が干されていた時代に登場し、再浮上のきっかけを作った『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日系)などもそのひとつといえる。

 近年では、『エンタの神様』(日本テレビ系)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)から人気芸人が生まれたが、これらは芸人を育てるというより、単に笑いを消費するためだけの番組だったといえるだろう。今ではこの2つの番組も終わっており、若手にとってはさらに厳しい状況だ。こうした環境では、やはり8.6秒バズーカーも使い回されて消費されていく存在になりかねない。

「8.6秒バズーカーは、人気に火がつくまでの導火線、つまり下積み時代が極端に短い。ですから、一度爆発したらもはや玉切れとなってしまうでしょう。その後も売れ続けるためには、トークのスキルや新ネタ、または誰もが飛びつくような驚きのプライベートといった、第二、第三の隠し玉が必要になってきます。ただ、地方営業に力を入れるという選択肢はアリだと思います。彼らと同じリズムネタでブレイクしたテツandトモは、全国で営業をこなし、今では全盛期以上の収入を稼いでいるといわれていますからね。テレビで生き残ることだけが芸人の道ではありません」(前同)

 8.6秒バズーカーは、先日出席したイベントで「一発屋にはなりたくない」と焦りをにじませている。やはり、ブラック化が進んだといわれるテレビ業界も、彼らにとっては夢の舞台なのだろう。いずれにしても次に発射されるバズーカー砲が不発に終わらないことを祈りたい。
(文=今井良介)

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