出演作2000本超の現役AV女優にして事務所社長! Myuという生き方

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──フリーで仕事をしていて、怖い目にあったり苦労したことはありますか?

「不思議となかったですね。ただ、メーカーさんから『前の事務所の関係で使えない』って言われたことはあります。でも、ひたすら働きたくて、来る仕事を全て受けていたら月に35現場ぐらいこなすことになっちゃった時もあって。よくぞ体を壊さなかったって思います」

──月35現場って、すごいですよね…。

「仕事の電話が鳴るのが嬉しくて…ずっと全力疾走で寝る時間もなかったです。『人に嫌われたくない』『現場で迷惑かけられない』『お金を返したい』っていう気持ちだけでやってました」

──その気持ちってある種の恐怖心なのかも知れませんね。

「事務所に所属していた時の宣材に『性格良し』って書かれてましたからね(笑)。この仕事を始めて何年も経ってから、現場で一緒になった女の子が『私、それはできないです』って言ってるのを聞いた時は衝撃でしたね。『そんなこと言っていいのか?』ってビックリしました」

──それを言えるコもまたすごいと思いますけどね。

「そうですよね。でも、私は『そんなこと言ったら仕事が来なくなる』って思って言えなかったです」

──いまは「Husler2」って事務所の社長を務められてますが、自然な流れで事務所を作ろうってことになったんですか?

「単純に仕事が多すぎて『これじゃこなせない』って単純に思ったんです。『自分が二人欲しい』っていう考え方の延長、っていう。でも、女の子を抱えて思ったのが『私と同じように動く人はいない』ってことですね。友達の紹介で最初に入ったコが個性的な女の子で…。面接に連れて行くとき、左右違う靴はいてノーパンノーブラだったりするような。人の話を聞く時もダラーっとした姿勢で聞いてたりして。でも、悪い子じゃないんです。だから面白がられて面接時に3本決まった時もあったんですけど、1本目を撮ったあとに『彼女は撮れません』ってお断りされたりしましたね」

──でも、最初に抱えたコがそんな感じっていうのは、逆によかったのかもしれませんね。MYUさんみたいに猛烈な勢いで働くコが来ちゃったらどうなってたかわからないし(笑)。

「でも、いま一番がんばってくれてる琥珀うたはちょっと私に似てると思いますね。頭が良くてがんばり屋で、苦労好きで…。Sっぽく見られますけど、Mにもなれて…苦労するのが好きな感じです(笑)。だから、根本的にはMなのかもしれません」

──実は現在妊娠9カ月(取材時)ということですが、自分と似てがんばり屋のエース・琥珀うたさんがいるからこそ、安心して子供を作れたっていうことはあるんですか?

「実はあまり会社には執着がなくて。彼女がやりたいっていえばいつでも譲る気でいますけど…。正直、お腹の子の父親に出会うまでは『この世に愛なんてものはない』って思ってたんで、現場で恋愛の話をしてる女の子のことを内心バカにしてたんです。妊娠なんかしたら仕事の邪魔になるだけ、って思ってましたし。でも、ある時に『やっぱり本当に欲しかったのは愛情だったんだ』って気づいて。その時期に彼と出会ったんですよね。孤児院で育って親も家族もいなくて、でも仕事ではがんばってて成功している、っていう」

──タイガーマスクみたいな話ですね。

「でも…それが全部嘘だったんです。それこそ梶原一騎好きの妄言だったんです………(苦笑)」

──え…えぇーーっ? 

「俺には家族なんかいないけど、全国の孤児院で育った仲間がいる」って言ってたんですけどね。逆に私には家族しかいなくて、友達はいなかったので…」

──ちょうどお互いに足りない部分を持ってた、っていう。

「まぁ、のちに嘘の設定だったってわかるんですけど…。家族だって妻だっていたじゃん! って。それがわかったのが今年の6月です」

──結構最近ですね。当然、妊娠した当初はそんなことは知らなかったんですね」

「お腹が目立ってくるつい最近まで、心配されたくなくて仕事関係の人にも黙っていたんです。つわりとかも全部飲み込んで。でもさすがに隠しきれなくて、『じつは妊娠してるんです』って言ったら『じゃあ妊婦もので一本とって出産費用にしようよ!』って言ってくださる方もいたんですけど…さすがにそれはお断りしました」

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──多分、誘ってくれた方は本当に悪気はないんでしょうけどね(苦笑)。この業界にいる愛すべき人、って感じで。相手の方とは結婚しようと考えていたんですか?

「普通に結婚したかったし、普通に結婚できると思ってましたけど…相手が結婚してることがわかったのが妊娠8カ月ですからね…。つきあったらまず戸籍を見ないといけませんね(苦笑)」

──相手の男はずっと黙ってたんですか?

「5年くらいつきあっている間、まったく気づかなかったし知らされませんでした。さすがに結婚していたらどこかのタイミングで言いますよね、普通。少なくとも妊娠がわかった時点とか…私だって相手の奥さんにも悪いと思いますし。妊娠がわかった直後、彼は『親に挨拶に行こうね』って言ってくれてたんですけど、その後3週間ぐらい連絡が取れなくなって…やっと連絡がついたと思ったら『オマエの仕事が気に入らない』とか言いはじめて…。以前はAVのイベントにも嬉々として遊びにきてたりしたんですけど(笑)」

──最後までキレイに騙して欲しいですよね。『海外事業を始めるからもう逢えない』『危険な場所だからキミは来ない方がいい』とかって。

「『今年は海外での仕事が多いからしばらく逢えない』って言ってましたね。でも日本にいるみたいですけど(笑)。いろいろ調べたらかなりの豪邸に住んでることがわかったんですよ。認知はする、って言ってくれてますけど…責任は取ってほしいですよね」

──今後、今の事務所を続けるかどうかは別にして、他に手がけてみたいことはありますか?

「託児所とかやりたいと思いますね。認可とかの面でいろいろ難しいと思いますが…。アダルト業界で働いていると、子供が熱出したりしても差し替えが利かないし、仕事に穴をあけるわけにもいかないんで、安心して預けられる場所があれば、って思うんです。今はキャバクラだと月契約で提携しているところもあるみたいですけど、アダルト業界でも色々なケアが必要な人はいっぱいいると思いますから」

──自分もシングルマザーとなるからこその発想ながら…たくましいですね。

「妊娠して毎日家にいることがこんなにつらいとは思わなかったんで…。今の事務所を続けるにしろ託児所を作るにしろ、何かしらやっていると思いますね。やっぱり働くのが好きなんだと思います。そういう意味でホントにMなんだと思いますね」
(取材・文=木村浩章)

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