「アイドル」はバンドが下に見て済む文化なのか? 「アーバンギャルドの病めるアイドル五番勝負!!!!!」レポ

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■「アイドル」はバンドが下に見て済む文化なのだろうか?

 今回の「アーバンギャルドの病めるアイドル五番勝負!!!!!」では、ふだんはオケで歌うことが多いアイドルが、毎回アーバンギャルドの生演奏で歌うのも重要なポイントだった。予算の問題もあるだろうが、アイドル側はぜひもっと生演奏を取り込んでほしい。

 また、アーバンギャルドというれっきとしたバンドが「アイドル」を平然と演じたことは、一見するとイロモノのようだったが、批評性とタフネスとユーモアが存在するからこそできることなのだと、一連のライヴを通じて強く感じた。流行に乗るようでいて、そこにあったのは実は何でもやれるバンドであるがゆえの貪欲さで、彼らはアイドルという文化のエネルギーを吸収しようとしていた。アイドル好きを公言するバンドマンは少なくないが、そこからさらに踏み出して同じステージに立ち、今回の選曲のようにアイドルの資質を見極めながらコラボを展開する余地はまだまだあるはずだ。アーバンギャルドというバンドが、どんなコラボ曲でも演奏をこなしていたことも特筆したい。

 さて。今回の企画では、握手会など「接触イベント」を毎回したために、アーバンギャルが推しのメンバーに対してかなり「こじらせている」状態になっていくのが顕著だった。アーバンギャルドが「普通のバンドマン」に戻った後はどうなるのだろうか……? 一度顕在化させたアイドル性は、そう簡単に消えるものだろうか……? その点にはいささかの不安を抱きつつ、今後のアーバンギャルドの「現場」にも注目していきたい。アーバンギャルドは9月19日にニューシングル「さよならサブカルチャー」をリリースし、10月からは「アーバンギャルド 病気の再来ツアー(仮)」を開催することが決まっている。「現場」はまだまだ続くのだ。
(取材・文=宗像明将)

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