待ち合わせは新宿アルタ前。10分前に到着すると、既にそこにはカオリちゃんらしき女性が立っていた。
目を凝らし、彼女を値踏みしながらゆっくりと近づいていく。
カオリちゃんの体型は中肉中背でこれといった特徴はなかった。顔はマスクのせいでよく分からなかったが、目が大きそうなことだけが判明。
これなら余裕でヤレる!! 許してもらえるのなら2回戦、3回戦も難なくこなせるはずだ。
声が裏返らないよう注意して話しかける。
「こんばんは、カオリちゃんかな?」
「は、はい。ショーイチさんですか?」
「うん! さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
周囲に人がいるので、声のボリュームを絞りながら会話する。
「ここだと人目があるから少し歩きながら話そうか?」
「は、はい」
「それじゃあ、そこの階段を降りて地下街に出ようか?」
こうしてアルタ脇の階段を降りる。その途中の踊り場で、マスクをズラしてこちらの顔を全部見せることにした。
「実物の俺はこんな感じだけど、大丈夫そうかな?」
「はい。もちろんです。あ、私もマスク外したほうがいいですか?」
「ううん、大丈夫だよ。それじゃあこのままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい。よろしくお願いします」
会話の受け答えもしっかりしていて、愛嬌もあるカオリちゃん。このようにコミュニケーションがとれるということはエッチのほうもかなり期待できそうだ。
目的地のホテルに到着し、室内でマスクを外すカオリちゃん。
ふむふむ、アリよりのアリだな…
彼女の顔は、女子プロゴルファーの“諸見里しのぶ”に似た感じだった。垢ぬけていないというか田舎臭さがあったものの、もう少し磨けば乃木坂46の元メンバーだった“生田衣梨奈”に似ているとも言えそうだ。
すぐにシャワーを浴びず、まずはおしゃべりからスタート。
今までの筆者はこの時の会話で「どんなエッチが好きなの?」と聞くのがお約束だった。
しかし、最近はあえてこの質問を封印している。
この直球過ぎる質問は、映画を鑑賞する前にネタバレを見てしまうのと同じようなものだ。
一期一会のセックスをより満喫するためには、余計な前知識なんて必要ない。その場その場で機転をきかし、創意工夫を持って攻略したほうが達成感を得られるというものだろう。
無難な世間話を終え、別々にシャワーを浴びる。そして室内の照明をほんの少しだけ暗くしてベッドインすることに。
「痛い事や汚い事はしないから安心してね」
「は、はい」
「もちろんキスマークも残さないし、ちゃんとコンドームも着けるからね」
「フフ、ショーイチさん。なんだか慣れてますね」
「え? そ、そう? た、ただカオリちゃんに安心してほしいだけだよ」
「わ、分かりました」
「それじゃあ、俺の方から奉仕するよ。体の力を抜いていてね」
「え? それでいいんですか?」
「うん。マグロってやつで十分だよ。女性に奉仕するっていうのが俺の性癖なんだ」
「か、変わってますね」
「嫌かな?」
「べ、別に嫌じゃないです」
「良かったぁ。それじゃあ、リラックスして楽しんでくれる?」
「は、はい」
軽めのキスから始め、すぐにディープキスへ。カオリちゃんも積極的に舌を使ってきたので、いきなり濃厚なキスとなった。