「こんにちは、アケミちゃんかな?」
「あ、はい。そうです」
「昨日【PC★MAX】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
ガチガチに緊張している様子のアケミちゃん。まぁ、無理もないだろう。彼女にとって初の出会える系サイト遊びであり、初めての不倫となるのだから。
最初はハズレ案件に応じて強気な態度でリードするつもりでいた。しかし、彼女の緊張を目の当たりにして優しい紳士を演じることにした。
「大丈夫? そんなに緊張しなくてもいいんだよ」
「は、はい」
「それに嫌だったら、ここでゴメンナサイしてもいいんだからね」
もし本当にゴメンナサイされたら、トラウマになってしまいそうだった。可愛いコや綺麗なコにゴメンナサイされるのなら納得もいくが、アケミちゃんみたいなのにゴメンナサイされたら一生もんの心の傷を抱えることになるだろう。
「え? ゴメンナサイって?」
「あ、俺が嫌だと思ったら遠慮なく断っていいってことだよ」
「そ、そんなことないです!」
「じゃあ、俺で大丈夫ってことかな?」
「は、はい」
「ありがとう。嬉しいよ」
「こ、こちらこそありがとうございます」
「ま、ここで立ち話もアレだから、少し歩きながら話そうか?」
こうしてアケミちゃんを先導する形でホテル街に向かって歩き始めることに。
その道中、彼女の緊張を少しでも和らげるため世間話をすることにした。
「アケミちゃんはよく新宿とか来るのかな?」
「た、たまぁに買い物とかで…」
「じゃあ、歌舞伎町のほうなんて滅多に来ないでしょ?」
「そ、そうですね。この辺はほとんど来たことがないです」
「この辺りは女性がひとりで歩いているとスカウトとかキャッチとかが寄ってくるところなんだ」
「そ、そうなんですか」
「でもこうやってカップルで歩いている限りはそういうのが寄ってこないから安心してね」
「は、はい」
「あ! でもあんまりふたりが近いと、万が一知り合いに見られたらまずいかな?」
「え?」
「ほら、俺は大丈夫だけど、アケミちゃんはこういうところを知り合いに見られたら大変でしょ?」
「たぶん大丈夫です。マスクもしているので…」
「それもそうだね。でも、念のためもう少しだけ離れて歩こうか?」
「は、はい」
気遣いのできる優しい男を演じ続ける。筆者の本性はただヤリたいだけのセックス中毒者にしか過ぎない。だが、セックスのためならいくらでも自分を偽ることができるのだ。
そうこうしているうちに目的のラブホテルに到着。いつもより数段グレードの低いところだ。
部屋に入り、ふたりきりとなったところで話題を下ネタに切り替えることにした。
「アケミちゃんは旦那さんとレス状態なんだよね?」
「は、はい。もう何年もしてない感じです」
「それじゃあ欲求不満で大変だったでしょ?」
「そ、そうですね。まだそういう事に興味があるので、正直不満でした」
「じゃあ、どうせなら今日はアケミちゃんの望むようなエッチにしたいな」
「え?」
「どんなエッチが好きなのか教えてほしいな」
「そ、そんなぁ」
「ほら、せっかく勇気を出してここまで来たんだから遠慮なんてしないほうがいいよ」
「で、でもぉ」
「なんでもいいからさ。願望とかないの?」
「で、できれば、激しく求められたいです…」
グヌヌヌっ!
激しいエッチというのは、筆者の苦手ジャンルだ。早漏の身なので激しいピストンはできないし、崇拝の対象である女性の身体を激しく愛撫するというのも得意ではない。
だが今更後には引けない。「できるだけ激しく求めちゃうね」と応じるしかなかった。
その後、別々にシャワーを浴び、いよいよベッドインすることに。