【女と男の隔たり】元カレが忘れられない女:前編

「ンハァ…チュ…ンハァ…」


 マリの口から声が漏れた。感じている。ディープキスに集中している声だ。僕は舌を思いっきり伸ばし、マリの口内へと侵入させた。

 互いの舌が激しく動き、レロレロと絡まり合う。マリの口の中の空洞はディープキスでいっぱいになった。次は下半身の空洞を、僕のモノで埋めたいと、キスが激しくなるたびに欲望が膨らんでいく。

 やっぱりここまできたからにはセックスをしたい。元カレの代わりでもなんだっていい。いま、ラブホテルでふたりきりでいるのだから。

 キスを続けながら、マリの胸へと手を伸ばす。すると、触れるか触れないか程度のところで、マリの手が僕の手を弾いた。


「それはダメ」

「え、なんで」


 キスが受け入れられたので、胸を触ることも受け入れてくれると思った。激しくディープキスもしていたので、マリの気持ちも盛り上がっていると思っていたので、これは予想外だった。


「ダメだよ。だって、私は元カレのことが今でも大好きだし…」


 マリが今更な理由を口にする。もう、キスをしてしまったじゃないか。その理由ではもう、僕の性欲を止めることはできない。


「でも、キスはしてくれたね」

「…うん」

「ごめん、嫌だった?」

「…嫌じゃなかったけど…」


 マリは胸を触られないような理由を必死に考えているようだった。しかし、もうキスをしてしまっては遅い。


「受け入れてくれて嬉しかったよ」


 僕は再びマリにキスをした。マリはやはりキスを拒まない。


「いまさ、俺らはどこにいる?」

「…ホテル?」

「なにホテル?」

「…ラブ、ホテル」

「なにするところかな」

「…」


 マリはなにも言わず、ただただコクリと頷いた。


「マリが元カレのことを大好きだってことは、話を聞いたからよくわかった」


 僕はマリの手の上に、自然と自分の手を添える。


「でも、マリはいま僕とラブホテルにいる。そしてキスをした。僕は嬉しかった。マリが受け入れてくれたと思って嬉しかったんだ。だから…」


 僕はここで一度、大きく息を吸った。


「僕はマリとセックスがしたい。今日だけでもいい。今日だけでもいいから、元カレの代わりとしてでもいいから」


 マリの手を強く握る。


「セックスしよう、マリ」


 古びた部屋の中に、僕の発した「セックス」という言葉が大きく響く。そしてその音が消えた後、反動で部屋は一瞬静寂に包まれた。

 セックスができたらいいなという淡い期待を持ってマリに会った。マリの顔を見て、ちゃっちゃとラブホテルに行こうと思った。マリの元カレの話を聞いて、ラブホに誘ったことを後悔した。

 でも今は、マリと出会ってここまで感じてきた感情が全て吹っ飛んでいる。感情が変わるのは本当に一瞬だ。僕は今、マリとセックスがしたくて仕方がなくなっている。ここでセックスできなければ後悔するだろうと思うくらい、マリをいい女だと感じている。それはマリとキスをして、心が奪われてしまったのかもしれなかった。

 マリは悩んでいるのか、言葉を発さない。不安になった僕は、思わず言葉を重ねる。


「マリ、ダメかな?」


 僕はマリの手を強く握った。

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