ムワっ!
うなじのの匂いは強いままだった。シャワーを浴びた際、うなじは洗い残していたのかもしれない。
あぁぁ、T子ちゃん。大好きだったよぉぉぉぉぉ!!
初恋の人の顔がありありと脳裏に映し出された。
今まで数千人以上の女性とエッチしてきた筆者だが、あのT子ちゃんの体臭に近い女性は今回が初めてかもしれない。
どうしてもまたこのナツミちゃんに会ってエッチしたい!
そのためにはもっと満足してもらわねばなるまい。歯を食いしばりながら射精感を封じ込める。
ここでもGスポットをえぐるようなピストンを続ける。
「あ、あぁ、そ、そこ! き、気持ちいいですぅぅぅ!」
T子ちゃんとは似ても似つかない声のナツミちゃん。
その声のおかげで、射精感が少しだけ遠のいてくれた。
さらに、漫画“ジョジョの奇妙な冒険”第6部に登場するエンリコ・プッチ神父を真似して素数を数えることにした。
2…3…5…7…11…13…17…19…
その次は、21? いや、3で割れるから違う。そうだ! 23だ!!
腰を振りながら、素数のことだけを考え続ける。
そして79を数えたところで、ナツミちゃんが声をさらに荒げてきた。
「い、イッちゃう、イッちゃうぅぅぅぅぅ!!」
その絶叫とともに、マンコ内部の肉がミシミシと愚息を締め付けてきた。
ここでピストンを止める。
下手に腰を振り続けていたら、その締まりのせいでチンコが弾き出されてしまうと思ったのだ。
ピストンを止めた代わりに、血流を操作してチンコをピクピクピクと痙攣させる。
「イ、イクぅぅぅぅぅ!」
そのチンピクがトドメになったようだ。
彼女に遅れること数秒で、筆者も思いの丈をブチ撒ける。
ふぅ。
ナツミちゃんのうなじに鼻を密着させ、深呼吸を繰り返す。
この体臭を嗅げるのは、この時が人生最後かもしれない。思い残すことのないよう、胸いっぱいに吸い込み続けるのだった。
10分近く余韻を味わってから身体を離す。
ティッシュで彼女のマンコを軽く拭いた後、コンドームを外して処理を行う。
「ありがとう、ナツミちゃん。もの凄く気持ち良かったよ」
「わ、私もです。この体勢でしたのは初めてでしたけど、とっても良かったです」
「喜んでもらえて光栄だよ。今日は俺に会ってくれて本当にありがとう」
その後、帰り支度をしながらLINEの交換にも成功。
再会を約束した後、駅の改札口まで彼女を送っていく。
こうして無事にデート終了。まだ二回目のデートは実現していないが、今から待ち遠しくてたまらない。
ナツミちゃんのためなら、否、あの体臭のためなら、他のセフレとの約束をドタキャンしてでも会いにいくつもりなのだ。
ちなみに、この30年間で筆者の小学校の同窓会が3回ほど行われている。その全てに参加しているが、T子ちゃんが参加したことはただの一度もない。
幹事の話によると、どうやらT子ちゃんは引っ越してしまったようで誰も連絡先を知らないとのことだった。
仲の良い友達がたくさんいたT子ちゃん。しかし誰も新しい住所を知らないというのはどういうことなのか? 家庭の事情かもしれないが、再会することはもう無理なのかもしれない。
今の筆者にできることは、T子ちゃんの幸せを祈ることだけだ。
(文=所沢ショーイチ)