【女と男の隔たり】挿入手前までの関係:後編

「そしたら…帰るね」


 僕は下着とズボンを履く。モノは下着の中ですでに萎んでいた。

 荷物を持って部屋を出ようと、玄関で靴を履く。


「駅までの帰り道わかる?」


 靴を履いている僕の後頭部から、真央の声が降ってきた。その言葉で、真央が僕にもう会う気がないことを悟る。


「大丈夫だよ。俺、けっこう道覚えるの得意だからさ」


 僕は立ち上がり、笑って真央に微笑んだ。真央の目は細くて、笑っているのか真顔なのかわからない。


「それなら良かった」


 迷子になったら連絡はするかもね、と僕は笑い扉に手をかける。もうこの家には来ることはない。それはいいのだが、真央とのキスやフェラをしてもらうことができなくなるというのは、寂しい。


「真央」


 僕は振り返って、一度だけ真央に口づけをした。ほとんどのキスで真央の方から舌を差し入れてくれたけど、この最後のキスに真央の唇が動くことはなかった。


「じゃあ、またね」


 僕は扉を開けて家を出た。後ろを振り向くと、扉を閉める真央の姿があった。

 真央は舞台のフィナーレでカーテンが閉まっていくときのように、腰くらいの位置で扉が閉まり切るまで軽く手を振ってくれていた。その姿を見て、もう真央には会えないけれどそれでいい、と思った。もう会わないかもしれないけど、社交辞令かもしれないけれど、手を振ってくれたことで「今日は真央にとっても楽しい1日であったはずだ」と信じることができるから。

 エッチはできないけど、フェラをしてくれた真央。

 僕はフェラの延長にセックスがあると思っている。むしろ、フェラという行為はセックスの中に組み込まれている。だから、フェラができるのであればセックスもできるだろうという考えになる。

 しかし、真央は違った。真央にとってセックスすることと、フェラをすることは別だった。おそらく、真央にとってセックスとは心を通わせる行為なのだ。だから真央は自分の心を傷つけないために、僕がアソコを触ることを拒んだのだろう。

 そして、真央にとってモノをしゃぶるという行為は単なる好奇心なのかもしれない。自分にはないから、不思議な存在だから。そんな思いがあったから、フェラをしてくれたのだと思う。

 僕は真央とセックスで繋がることはできなかった。つまり心を通わすことはできなかった。

 けれど、射精の瞬間をまじまじ見るという時間を一緒に共有したのは真央しかいない。もしかしたら今後、真央以外でその瞬間を共有する人はもう二度と現れないんじゃないかとも思う。挿入にはたどり着かない短い関係だったけど、真央という存在は確実に僕の中に色濃く残る気がした。

 家に帰るために、駅へと向かって歩いていく。射精してからまだ数分しか経ってないので、ズボンの中のモノはジンジンとしていた。

 またいつか、心を通わせれるような人に出会えるのだろうか。

 彼女と別れたばかりの僕。そして大好きな人にセフレ扱いされた真央。

 空を見上げる。夜を迎えた真っ暗な空には雲ひとつなかった。その空の中心に、まん丸の綺麗な満月が光っている。

 月が綺麗ですね。

 早く僕にも真央にも心を通わせれるような人が現れますようにと、その満月を眺めながら祈ったのだった。

(文=隔たり)

 やや右に曲がりながらも、天に突き上げるようにまっすぐ勃ったモノに、女性の後頭部が被さる。後頭部、モノ、後頭部、モノ。そんな景色が、女性の頭が上下するたびに繰り返される。何度も後頭部が被されていくと、現れたモノはだんだんと女性の唾液でテカり始めていた。その規則正しい上下運動に、僕はただ見とれている。

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