「この道をまっすぐ行けば新宿駅に出るから」
「え?」
「俺はこっちのほうの路線で帰るから、ここで!」
「え、エッ? あ、あのぉ」
「じゃ、気をつけて帰ってね!」
そう言いながら彼女に背を向けて歩き始める。
もし追いかけてこられたらどうしよう? 内心ヒヤヒヤしていたが、なんとか無事にデートを終えることができた。
その日の夜。出会える系サイト経由でマサミちゃんからメッセージが届いた。
今日のデートのお礼と共に、来週のどこかで会いたいという内容だ。
不細工ちゃんやおデブちゃんには、必要以上に優しくしないというのが筆者の信念。下手に勘違いされては、後々面倒なことになるからだ。
もちろんマサミちゃんにもそうしていたつもりだが、サジ加減を間違っていたのかもしれない。
彼女からのメッセージに目を通した後、返信せず静かにスマホを置いたのだった。
(文=所沢ショーイチ)