くーっ、マジでマブいなぁぁぁぁ!!
鼻の下がグィンと伸びてしまいそうになる。慌ててマスクを元の位置に戻してから会話を続けることにした。
「き、今日はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
ハキハキと喋るイクミちゃん。男前の美形フェイスに相応しく、さっぱりとした性格なのだろうか。
「と、とりあえずここだとアレだから、は、話しながら歩こうか?」
「はい」
最初は演技でわざと噛んでいたのだが、彼女のオーラに圧倒されてしまい本気で噛んでしまっていた。
「ごめんね。今の俺、ちょっと挙動不審じゃない?」
「え? なんでですか?」
「こんな若くて綺麗なコが来るとは思ってなかったから、すっごく驚いてるんだ」
「またまたぁ、もう30歳過ぎてるしそんなに綺麗じゃないですよ」
「いやいや、そんなことあるって!」
ここで背筋をピンと伸ばし、首をゆっくり左右に振る。こちらのその動作に彼女が気付いていることを横目で確認する。
「今、俺の視界に入っている女性の中で、間違いなくイクミちゃんが一番綺麗だと思うよ」
「えぇ? 大げさですよぉ」
「でも、綺麗だねって言われ慣れてるでしょ?」
「そ、そんなことないです」
「あ! 今、ちょっと間があったよ。思い当たる節があるんでしょ?」
「も、もういいじゃないですか、その話は」
「ご、ごめん。でも、イクミちゃんは俺みたいなので大丈夫?」
「え?」
「ほら、美女と野獣って感じで釣り合わないとか思ってない?」
「や、野獣ですか?」
「あ、野獣じゃないか。俺の顔って草食系のMっぽい顔だもんね」
「フフ、とても優しそうで面白い方だと思いますよ」
「ほ、本当に? む、無理して合わせなくていいんだよ」
「本当です。ここで嘘ついてもしょうがないじゃないですか」
「そ、それもそうだね。それじゃあ、このままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい。もちろんです」
その後、当たり障りのない世間話をしながら目的のラブホテルに到着。
すんなりとチェックインを終え、ようやく部屋でふたりきりとなった。
「まず安心してね」
「え?」
「ふたりっきりになった途端に性格が変わったりしないからね」
「フフ、はい。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ、お、お願いします」
男性慣れしているのだろうか? それとも彼女本来の性格なのだろうか? 物怖じする様子のない彼女に圧倒されてしまいそうになる。
だが、この調子だと満足のいくセックスができない。
ここはなんとしてでも主導権を取り返さなければなるまい。そこで、下ネタの話題を振って様子を見ることにした。
「ね、いきなりだけど、イクミちゃんはどんなエッチが好きなのかな?」
「うーん、そうですねぇ。でも、言うのはちょっと恥ずかしいですよぉ」
「でも、教えてくれないとその通りのエッチができないでしょ? 今日はイクミちゃんの望む通りのエッチをしたいんだ」
「そういうショーイチさんこそ、どんなエッチが好きなんですか?」