「久しぶりだね、チナツちゃん」
「お、お久しぶりです」
「とりあえず、ホテルに向かいながら話そうか?」
「は、はい」
やはり4カ月ぶりということで、彼女は緊張していたようだ。
いつもなら「相変わらず綺麗だね」だの「セクシーだね」だのとジャブを入れるところだが、正直者の筆者はどうしても嘘をつけない。
いくら頭をヒネってみても、チナツちゃんの容姿には褒めるべきところが何もないのだ。
ここで面倒くさがるようでは、出会える系サイトを満喫することはできない。
彼女の緊張をほぐすべく、歩きながら会話を再開する。
「チナツちゃんはあれからあのサイトで遊んだりしてるの?」
「え?」
「他の男性とデートしたりしてるのかって気になったんだ」
「あ、あれから誰とも会ってません」
「サイトも使わなかったの?」
「い、一度だけ書き込んだんですけど、なんか怖くなっちゃって…」
「うん、うん。そりゃ怖いよね。見ず知らずの異性とエッチするのは、女性にとってかなりリスクが高いものね」
「は、はい。それで書き込んだだけで終わっちゃいました」
「へぇ、そうだったんだぁ」
「しょ、ショーイチさんはどうされていたんですか?」
「ん? 俺? 相変わらず仕事がバタバタしていてあんまり遊べてないんだ」
月に4、5回のペースでサイトを利用して遊び続けているとは言えない。無難に返答するしかないだろう。
「あ! そうだ。何度もお誘いを断っちゃってごめんね」
「え、いえ。大丈夫です。こうやってまたお会いできただけでも嬉しいです」
「俺も誘ってもらえて本当に嬉しいよ。今日もまたふたりで楽しもうね」
「は、はい」
「ね、前回のデートのこと覚えてる?」
「はい。も、もちろんです」
「何が一番印象に残ってた? 今日も何かリクエストがあれば教えてほしいな」
「り、リクエストですか? と、とくにはないです」
「え? それじゃあ、前回と同じような感じでいいってこと?」
「はい!」
「了解。でも、何か思いついたことがあったらすぐに教えてね」
「フフ、やっぱり優しいですね、ショーイチさんって」
「そうかな?」
「前回も思ったんですけど、凄く安心できます」
「それはそうだよ。この顔を見て?」
「え?」
「どう見てもMっぽい顔でしょ? 女性の嫌がることは絶対にできないって感じでしょ?」
「そ、そうかもしれませんね」
「だから今日も思いっきり油断しまくっていいからね」
「ゆ、油断ですか?」
「うん。ちょっとでも緊張してたら、せっかくの気持ち良さが半減しちゃうでしょ?」
「そ、そうですね」
「そんなのもったいないから、リラックスしてね」
「は、はい。そうできるよう頑張ります」
「だめ、だめ!! 頑張るってこと自体が間違ってるよ。頭を空っぽにして楽しまなきゃ」
「フフ、分かりました。楽しみたいです」
ようやくチナツちゃんの緊張がほぐれてきた感じだ。
そして前回と同じラブホテルにチェックインして、部屋でふたりきりとなる。
彼女は人妻なので時間に余裕がない。すぐにシャワーを浴び、ベッドインの準備を終える。