「それじゃあ、行こうか?」
「はい」
「この間と同じホテルでいいかな?」
「もちろんです」
ホテル街に向かって歩きながら、会話を続ける。
「それにしても、今日はどうして俺を誘ってくれたの?」
「そ、それは…」
「急にシたくなっちゃったとか?」
「は、はい…」
「ありがとう」
「え?」
「ムラムラして俺の事を思い出してくれたんだよね? それってとても光栄だよ」
「こ、こちらこそありがとうございます。急に誘っちゃったのに来てもらえて嬉しいです」
「あ! ようやく笑ってくれたね」
「え?」
「少し緊張してたみたいだけど、安心したよ」
「そ、そうだったんですか?」
「うん。カスミちゃんみたいに綺麗なコって、どうしてもクールに見えちゃうからね。だから、笑顔が見られて良かったよ」
「そ、そんなぁ」
これも計算づくの発言だ。
会話の流れでサラっと“綺麗なコ”というワードをぶっ込んだのである。
これがトコショー流の愛情表現だ。
面と向かって好きだの綺麗だのとはなかなか言えない。イケメンなら様になるだろうが、筆者のようなスケベ面した野郎が言っても滑稽なだけだ。
だから、会話の流れでつい本音が出ちゃった風を装っているのである。
女性というのは自分に対する褒め言葉に敏感なので、効果テキメンなのだ。
目的地のラブホテルに到着し、室内でふたりっきりとなる。
ここまで来たら遠慮はいらない。本能の赴くままにカスミちゃんの肉体を貪るだけだ。
「ね、また前みたいにお風呂場でイチャイチャしようよ」
「は、はい」
「ありがとう。じゃあ、ふたりで洗いっこしようね」
もう余計なおしゃべりは必要なかった。道中の会話によってふたりとも完全にスイッチが入っていたようなものだ。
スルスルっと洋服を脱いだ筆者は、先に浴室に入りシャワーの温度を調整する。
本当はカスミちゃんが脱いでいく様子を見物したかったが、そこまで調子に乗るわけにはいかない。
そこで、あえて先に浴室に入ったのである。
すぐにカスミちゃんもやって来た。
「あれ? どうして手で隠してるの?」
恥ずかしそうにしながら、胸と股間を手で隠していたカスミちゃん。