う、ウホッホ!?
喜びの声ではない。
その女性の顔は、元AKB48の秋元才加に似た感じの”類人猿”系。いわゆるゴリラ顔だったのだ。
ワイルドビューティーと言えなくもない。見る人によっては綺麗だと思うかもしれない。
しかし、筆者は物心ついた頃からゴリラ顔の女性が苦手だった。
幼少の頃に見た映画『猿の惑星』。ストーリーは半分くらいしか理解できなかったものの、人語を話す猿たちの不気味さにただただ恐怖した。それがトラウマになっているのかもしれない。
ぐ、ぐぬぬぬぬぬっ!!
久しぶりにデパガとヤれる! そんな期待で胸も愚息もパンパンに膨らんでいたので、落差があまりにも大きかった。
ここで脳内スクリーンのスイッチを入れる。
過去に対戦した数々のモンスターの映像アーカイブを再生開始。
ふっ、大したことないな…
やはり経験の蓄積はとても大事だ。不細工ちゃんやおデブちゃんとの対戦回数が異様に多い筆者なので、耐性値は一般の成人男性の数十倍はくだらない。
たとえゴリラ顔であっても、ノリさえ良ければこの戦闘を無傷で終えることもできそうだ。
そんな事を考えていると、イオリちゃんがペコっと頭を垂れてお辞儀してきた。
これぞ、お辞儀!!
こんなに深々とお辞儀されたのはいつ以来だろうか? 約1年前、吉原のソープで総額13万円という大枚を叩いて二輪車で遊んだ時以来かもしれない。
ウホっ!
心の中で歓喜の声をあげる筆者。
相手の美点を100倍以上の倍率で大きく捉えることができるスキルが発動したのだ。
これなら躊躇することなく余裕でヤれる! スタイルもパっと見た感じでは悪くないし、ゴリラ顔にさえ目を瞑れば問題ないはず。
覚悟を決めた筆者は、ゆっくりとした口調を心がけて話しかける。
「お待たせ。イオリちゃんだよね?」
「は、はい。そうです」
「あれ? ビックリしてる?」
「え?」
「送った写メよりずっとエロそうな顔してると思って、ヒいてるんじゃない?」
「そ、そんなことありませんよ。頂いた写真通りです」
「あとでガッカリさせたくないから言っておくよ。俺って本当にエロいよ。大丈夫そうかな?」
「ど、どんな風なんですか?」
「ここじゃあ、言えないくらいエロいんだ。少し歩きながら話そうか?」
「は、はい」
アルタ前からラブホ街に向かって歩き始める。
そして周囲に聞こえないようボリュームを絞りながら会話を再開する。