少しばかりの罪悪感を覚えつつ、部屋に入室。
ま、さっさとヤって家に帰るか。こういう時、早漏体質って便利だよなぁ。
ようやくこちらも最終的な覚悟を決める。
「じゃ、先にシャワー浴びておいで」
そうナナエちゃんに促し、筆者は窓際に向かう。そして煙草に火を点け、煙を外に向かって吐き出す。
2本目の煙草を吸い終えるころに、ナナエちゃんが浴室から出てきた。
「じゃ、俺も浴びてくるから、お茶でも飲んで待っててね」
開け放っていた窓を閉め、浴室に入る。
チャチャチャのチャっ
チンコと脇の下と足指だけをサクっと洗う。
相手のレベルに応じて、身体を洗う時間が増減するのは当然だろう。この時は必要最低限の箇所しか洗わなかった。
部屋に戻ると、ナナエちゃんはバスタオルを体に巻いた状態でベッドに腰掛けていた。
できるだけ彼女の顔を見ないようにして話しかける。
「寒かったらもっと暖房を効かせていいからね」
「はい」
「歯磨きと手洗いするから、もう少し待っててね」
「分かりました」
歯磨きと手洗いだけは手を抜くことができない。いつも通り念入りに準備を行ってから、彼女と向き合う。
「お待たせ」
「は、はい」
「やっぱり緊張してるのかな?」
「は、はい。も、ものすごく久しぶりなので…」
「どうか安心して。絶対にナナエちゃんの嫌がることはしないからね」
「あ、ありがとうございます」
「ただのマグロでいいからね。俺のほうからたっぷり奉仕させてもらうから」
「え? ま、マグロ?」
「あぁ、何もしなくていいってことだよ。リラックスして寝ていてくれれば十分だよ」
「そ、そんなぁ」
「それは嫌かな?」
「い、いいえ。ショーイチさんに申し訳なくって…」
「申し訳ないなんて思わないで。これが俺の性癖なんだからさ」
「せ、性癖ですか?」
「うん。とことん女性に尽くして喜んでもらう、それが俺の大好きなセックスなんだ」
「フフ、変わってますね」
「でしょ? スケベをこじらせすぎたからこうなっちゃったんだ」
「そ、それじゃあ、ショーイチさんにお任せします」
「うん! 任された! でも、痛かったり嫌なことがあったらすぐに教えてね」
「は、はい。お、お願いします」
いつものようにスラスラとセリフが出てくる。
これは筆者にとってルーチンワークみたいなものなので、意識せずにしゃべることができる。