「俺のほうこそゴメンね。送った写メより何百倍もエロそうな顔してるでしょ?」
「え?」
「ほら、よく見て。顔にスケベって書いてあるの見える?」
「そ、そんな。とっても真面目そうで優しそうです」
「あ! ダメだよ。そんなんじゃ悪い男に簡単に引っかかっちゃうよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。俺の目を見てごらん?」
「は、はい」
「何か訴えてるの分かるかな?」
「え?」
「早くホテルに行ってエッチしたいって、訴えてるんだよ」
「エエっ!? ほ、ホントに私みたいなのでいいんですか?」
「うん! ナナエちゃんが俺みたいなスケベでも構わないっていうんなら大歓迎だよ」
「も、もちろんです! お、お願いします」
「それじゃあ、行こうか?」
「はいっ」
精一杯の笑顔で「はいっ」と即答したナナエちゃん。目尻が少し下がったように見えたが、依然として目は線そのものだった。
池袋駅北口から徒歩数分のところにある激安ラブホテルを目指す。その道中にある自動販売機の前で飲み物を購入することにした。
「じゃ、先に選んで? どれがいい?」
100円硬貨2枚を投入し、ナナエちゃんに聞いてみる。
「え? い、いいんですか?」
「たかが飲み物くらい大丈夫だよ。遠慮しないで選んで」
「あ、ありがとうございます!」
やたらと恐縮するナナエちゃん。温かいお茶を選んだ彼女は、その容器を頬に当てて嬉しそうにする。
可愛いコがこれをやってくれたら、それこそ胸キュンものだろう。しかし、ナナエちゃんは40歳で、顔に難アリの物件だ。
愚息は寝たふりを決め込んだようで、これっぽっちも反応しない。
おい、大丈夫なのか?
ここにきて少しばかり焦り始めてしまった。いくら想像力の逞しい筆者であっても、これはかなりてこずりそうだ。
チンコさえ立ってくれればなんとかなるはずだ。なんとか挿入できるくらい充血してほしいのだが…。
そしてホテルに到着。チェックインする前に彼女の意志を最終確認することにした。
「ね、今ならまだ大丈夫だよ」
「え?」
「もし無理そうだとか、嫌だと思ってたら引き返してもいいんだよ」
「そ、そんなことないです。も、もしかして、ショーイチさんが無理そうですか?」
「んなことないよ! ただ、女性に無理強いしてエッチしたくないだけなんだ。ホントに俺で平気?」
「はい! 来てくれたのがショーイチさんみたいな人で本当に嬉しいんです」
チクっ!
いつもなら胸キュンするところだが、またわずかな痛みを覚えてしまった。
心の中で彼女のことをさんざん罵倒していたが、これほどまで信用してくれるとは…。
ずいぶんとチョロい女だなぁ…