「こういうラブホテルとかあまり使ったことがない?」
「も、もう何年も前のことなので…」
「そっかぁ。それだけお仕事に頑張ってたわけだね」
「べ、別にそういうつもりじゃないですけど、男性との会話も久しぶりだから」
「うん。それじゃあ、少しゆっくりおしゃべりしようよ」
「え?」
「ここでガツガツ慌ただしくエッチしても、絶対に後悔すると思うんだ。だから、モエちゃんが落ち着くまで何もしないよ」
「や、やっぱり上手ですね。接客業に絶対に向いてますよ」
「そんなことないって。俺って正直だから、嫌な相手を目の前にすると顔に出ちゃうんだ」
「え? そんな風に見えないです」
「それはモエちゃんが綺麗だからだよ」
「ま、またぁ。いくらなんでも褒め過ぎですよ」
「褒めてなんかいないって。モエちゃんくらい綺麗だったら、作ろうと思った次の瞬間に彼氏ができると思うよ」
「本当にそうだったらいいんですけどね」
そろそろ場が温まってきたと判断し、会話をエッチな方向にシフトチェンジすることに。
「ね、モエちゃんはどれくらいエッチしてなかったの?」
「え? そんな事聞くんですか?」
「あ、嫌だったら答えなくていいよ。なんとなく気になってさ」
「そうですね…。約5年くらいしてないです」
「そんなに! いくらでも男が言い寄ってきたでしょ?」
「職場もお客さんも女性だらけだし、そもそもそういう出会いの場がなかったんです」
「ああ、そうだったね。その間はムラムラしなかったの?」
「は、はい。あまりエッチをいいものだと思えなくて…」
モエちゃんの表情が一瞬曇ったのを見逃さなかった。
もう少し突っ込んで聞きたかったが、これ以上は触れないほうが無難だろうと判断する。
「ショーイチさんこそどうなんですか? こういう遊び、よくしてるんですか?」
「そんなことないよ。なんとなく人肌が恋しい夜ってあるでしょ? そういう時だけだよ」
「あぁ、その気持ち分かります。私もそれに近いかも…」
本当は365日毎晩人肌を恋しく思っている筆者。だが、彼女に伝えた言葉に嘘はない。
落ち着いた雰囲気のなかおしゃべりをすることで、モエちゃんの緊張が解けてきたように見えた。
時間を確認すると、ホテルに入ってから30分以上が経過していた。そろそろ頃合いだろう。