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初めまして、モエさん。
都内の会社員、ショーイチ・39歳です。
さきほど、モエさんの書き込みを見ました。
私も今日はエッチな気分だったので、モエさんと楽しく時間を過ごしたいです。
もう仕事が終わっているので、
5分後でも数時間後でも待ち合わせ可能です!
あ!
お返事いただけたら、私の写メを送りますね。
それを見てもらってからで構わないので、
検討してもらえたら嬉しいです!
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メモ帳アプリに登録しているフォーマットをコピペして、必要な箇所だけ書き直す。
この作業はガラケー時代から何度となく繰り返しているので、スマホ操作に不慣れな筆者であっても10数秒くらいで完了。
ポチっと送信ボタンを押して、後は気長に待つだけだ。
彼女の書き込み欄には、「受付メール数:2/5」と表示されていた。既にふたりの男性ユーザーがこのモエちゃんにアタックしていることになる。
筆者は3番目にアタックしたことになるが、ここで焦っても意味がない。
他にめぼしい女性がいないか複数のサイトをチェックしていると、数分ほどで彼女からの返信が届いた。
すぐに自撮りの画像を添付して返信する。そして、数回のやり取りを経てすんなりとアポを取ることに成功したのだった。
約束の場所は池袋駅地下構内の待ち合わせスポット「イケフクロウ」前。5分前に到着した筆者がソワソワしながら待っていると、ほぼ時間通りにモエちゃんらしき女性が近づいてきた。
おっ! なかなか綺麗じゃん!
彼女の顔は女優の横山めぐみに似た感じだった。目鼻立ちがハッキリしていて、眉がキリリ。意志が強そうな印象を受けたが、Mっ気の強い筆者にしてみれば好みのタイプだ。
体型はスレンダーで、オッパイの大きさにはあまり期待できそうにない。それでも、おデブちゃんの貧乳に比べれば何億倍もマシである。
それまで口内で転がしていたミント味のタブレットをガリっとかみ砕き、全てを飲み干してからゆっくりと彼女に近づく。
「こんばんは。モエちゃんだよね?」
「あ、はい。ショーイチさん?」
「うん。今日はよろしくね」
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」
伏し目がちに挨拶するモエちゃん。筆者は目を細め、彼女の表情の変化に注目していた。
ほっ。
まず、顔に嫌悪の相が浮かんでいないことを知り一安心。
己が不細工なのは百も承知している。しかし、不幸中の幸いと言うべきか、筆者の顔は草食系の不細工なのだ。
この草食系というのが肝心なのだろう。
あ、コイツ、気が弱そうだから無茶なことはしてこなさそう♪
こんな具合に、女性に「チョロそう」と思ってもらえたら勝利したも同然なのである。
しかし、己の素の顔を晒すのは危険だということも承知している。
オデコに皺ができない程度に目を見開き、ほんのわずかに口角をあげる。そして逸る気持ちを抑え、ゆっくりとした口調で話しかけるようにしているのだ。