「チナツちゃんはもう何年もセックスレスなんだよね?」
「は、はい。だいたい5年くらいしてないです」
「思いっ切ってああいうサイトに登録したのは、何か理由があったの?」
「そ、そうですね。先日、学生時代の友達と会って、そういう話をしてたんです」
「友達って女友達?」
「はい。そのコが毎日のようにセックスしてるって聞いて…」
「そのコはチナツちゃんと同じ歳なんだよね?」
「はい。それで、なんだか自分が凄く惨めに思えちゃって…」
「なるほどね。そういう事だったんだ。でも、チナツちゃんくらいの年齢って一番セックスが気持ちよくなる時期だって知ってた?」
「え?」
「女性ってのは、40代から性欲が増して、今まで以上にセックスが気持ち良くなるものらしいよ」
「そうなんですか?」
「うん。40歳を過ぎてから初めてイクことを覚えたって話もよく聞くよ」
「へ、へぇ…」
「チナツちゃんはイッたことってあるのかな?」
「は、はい…」
「それじゃあ、今日は久しぶりにイケるといいね」
「で、でも、久しぶり過ぎてあの感覚とかよく覚えてないです」
「あ、そんなにリキまないで。イクとかイカないとかじゃなくて、ふたりで楽しみながら気持ちよくなろうよ」
「フフ、やっぱり慣れてるじゃないですか」
「え?」
「ショーイチさんに言われると、なんでも疑わずに信じちゃいそうです」
「だ、騙すつもりなんてないよ。あくまでも一般論なんだからさ」
彼女にはふたつの嘘をついていた。年齢と既婚者のフリをしていることだ。
少しばかり胸の奥がチクっと痛んだが、これもまた慣れっこになっている。
「ショーイチさんはよくこういう遊びとかするんですか?」
「え、俺? ま、まぁそれなりかな」
「あ、誤魔化しましたね。奥さんとはしてないんですか?」
いくらでも言い訳することもできたが、あまり長く会話を続けているとボロが出そうだ。ここは思い切ったほうがいいだろうと判断。
「ね、そういう話は止めようか。俺もこれ以上は聞かないからさ」
「そ、そうですよね。ごめんなさい」
「謝らないで。じゃ、最後に俺の方からひとつだけ聞かせて」
「はい?」
「今日はどんな風に楽しみたい?」
「ど、どんな風にって…」
「ほら、こんなエッチが好きだとか、あんな事されたいとか、何かリクエストはないかな?」
「そ、そうですね。優しくしてもらえたら嬉しいです」