約束の5分前に到着した筆者は、まだ見ぬチナツちゃんの容姿を想像しながら彼女の到着を待つ。
そしてほぼ時間どおりにチナツちゃんらしき女性がやって来るのを目ざとく発見した。
ぐぬぬぬっ
口内に苦い唾液の味が広がった。
中肉中背で、年相応にお腹周りのお肉がダブついていそうな体型だったチナツちゃん。顔は女優で歌手のペギー葉山の若い頃みたいな感じで、どこからどう見てもただのオバさんだ。
だが、過去に遭遇した数々のモンスターと比較すれば十分過ぎるくらいセクシーだともいえる。
経験値が多ければ多いほど、自然と守備範囲は広がるものなのだ。
女性は見た目じゃない。マンコが美味いかどうかが全てだ!!
お経を唱えるように自分に言い聞かせ、ザラついてしまった感情を抑え込む。
フッ…
すぐに冷静さを取り戻すことに成功。若い頃の筆者は、自分の感情をコントロールすることが大の苦手だった。だが、年齢を重ねるうちに自然と制御できるようになっていた。
まさに加齢のおかげだ。肉体の衰えというデメリットは決して無視できないが、それをカバーして余りあるスキルを取得できたのだろう。
キュキュっと軽く口角を上げ、顔の筋肉を弛緩させる。
不細工は不細工なりに、どういう表情をすれば相手の警戒感を薄められるのか理解しているのだ。
チナツちゃんを視界に捉えてから準備を整えるまでにかかった時間は5秒もかからなかった。
この能力を他で活かすことができれば、それなりにまともな人生を過ごすことができたのかもしれない。だが、セックス以外のことに労力を費やすなんて真似は死んでもしたくない。この性格だけは死んでも治らないのだ。
ゆっくりと呼吸しながらチナツちゃんに近づいていき、声をかける。
「こんにちは、チナツちゃん」
「あ、は、はい」
「さっきサイトで約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。こ、こちらこそ、お、お願いします」
可哀そうなくらい緊張している様子のチナツちゃん。
思い切って出会える系サイトに登録してみたものの、セックスすることを前提に見知らぬ男性と対面したのだから無理もない。
カチっ!
筆者のスイッチが入った。ここから愛撫が始まったようなものだ。
この素材を生かすも殺すも全てはこちらの腕次第。手間暇かける事を面倒に思うようでは、決して美味しい料理を作ることなんてできないのだから。