しかし、彼女が提示してきた3日のうち、筆者のカラダが一日中フリーなのは、この日の翌日だけ。それ以外は、地方在住の女性読者が上京してくることになっていた。
都内在住のセフレだったらダブルヘッダーも望むところだが、わざわざ筆者とやるために地方から長い時間かけてやって来る女性に対してはそうもいかない。
そこで、急すぎるかと思いつつ、翌日のデートを提案することにした。
すると、数分もしないうちに返信が届き、デートの約束が成立したのだった。
待ち合わせ場所は、新宿アルタ前。ドキドキしながら待っていると、ほぼ時間通りにS子ちゃんが現れた。
ウヒっ、小っちゃくて細くてめんこいのぉぉぉっ!!
S子ちゃんは、写真どおり水野真紀に似ていて綺麗だった。
こちらの逸る気持ちを悟られないよう、あえてゆっくりした口調で話しかける。
「こんにちは、S子ちゃん」
「は、初めまして」
「今日も暑いねぇ。わざわざ来てくれてありがとう」
「そ、そんな。こちらこそありがとうございます」
「ここだと人通りの邪魔になるから少し歩きながら話そうか?」
「あっ、は、はい」
日差しを避けるため、アルタ脇の階段を降りて地下街に入る。
その移動中、横目で彼女を観察すると、かなり緊張している様子だった。
まぁ、無理もないだろう。なにしろ、初対面の男性とエッチするのは初めてのことなのだから。
それに、自信のなさの表れでもあるようだ。卑屈とまではいかないが、どこか申し訳なさそうにしていた。
こういう時は、焦ってはダメだ。
無理に緊張を解こうとしても、逆効果に終わるだけだろう。
そこで、時間をかけて心の垣根を取り払うことにした。
できるだけS子ちゃんの目を見ないようにして話しかける。
「本当にありがとうね。俺、いま、めちゃくちゃ喜んでるんだよ」
「ほ、本当ですか。無理はしないでくださいね」
「無理なんてしてないよ。嬉しいからニコニコしてるんだよ」
「そうなんですか?」
「ほら、俺のコラムを読んでるなら分かるでしょ? “ちっ”なんて思ってたら、こんな顔できないよ」
「よ、良かったぁ…」
「S子ちゃんのほうこそ、本当に俺で大丈夫?」
「はいっ! もちろんです!!」
「ありがとう。断言してもらえるなんて、光栄だよ。それじゃあ、ホテルに向かおうか?」
「は、はい。お願いします」
歌舞伎町を縦断してホテル街に入る。以前よく利用していたコンビニが改装中だったので、付近の自販機で飲み物を購入した。