「大丈夫だから安心して」
「えっ?」
「ここで断られたら、ダッシュで駅と反対側に走っていくからね」
「ど、どういうことですか?」
「ほら、実物の俺って写真の何百倍もエロそうでしょ? 嫌だと思ったら遠慮なく断っていいんだよ」
「そ、そんな…」
「怒ったりしないし、すぐに向こう側に走ってシオリちゃんの視界から消えるからね」
「フフっ、変わってますね。ショーイチさんって」
「うん。変わってるかもね。とにかく女性に不快な思いをしてほしくないんだ」
「すごいです。本当にメールの通りなんですね」
「どういうこと?」
「とっても優しい人なんだろうなって思ってたんです。でも実際はどうなのかなって…」
「うん、うん。そりゃ不安に思うよね」
「でも、想像していたよりずっと優しそうで安心しました」
「ん? 安心するのは早いんじゃない? ベッドに入った途端、豹変するかもよ」
「フフフ。絶対にそんなことできなさそうですよ」
「ば、バレた? 俺の人格はこのスケベ人間だけだから、性格が変わったりはしないと思うな」
「そうでしょうね」
「と、とりあえず少し歩きながら話そうか?」
「はい」
筆者が道化を演じているうちに、シオリちゃんも落ち着いてきた。彼女の顔には、緊張から解き放たれた自然な笑みが浮かんでいた。
この変化に手ごたえを感じ、
これなら満足のいくセックスができそうだ!
と思う筆者なのだった。
「今、ホテル街に向かって歩いてるんだけど、その前にどこかでお茶でもする?」
「え、えっと…。あまり時間がないので、ホテルで大丈夫です」
「そっかぁ。シオリちゃんって人妻なんだものね」
「はい」
「こうしてみてると、すっごく若く見えるから人妻には見えないよ」
「そ、そんなぁ。若くなんてないですよ」
「だって、33歳でしょ? 俺からしてみたら、小娘みたいなものだよ」
「えっ、小娘ですか? でも、ショーイチさんとあまり年齢変わらないじゃないですか?」
「そ、そうだね」
筆者はサイトのプロフィールで12歳ほどサバを読んでいるので、シオリちゃんからすれば5歳くらい年上ということになる。こうなると、
実は50歳なんだ
とはいまさら言えない。最後まで30代の男性に相応しいパワフルさを見せつけなければならないだろう。