これは、なんとか理由をつけて断ったほうがいいだろう。
そう決心した時、ミナコちゃんと目が合ってしまった。向こうもこちらを認識したようで、真っすぐ近づいてきた。
「お待たせしました。ショーイチさんですよね?」
目の前に立ったミナコちゃんは、前傾姿勢で顔を近づけながら話しかけてきた。
いきなりパーソナルスペースに侵入され、少したじろいだ。タバコ臭い息を嗅がれやしないかと心配になってしまう。
「う、うん。ショーイチだよ」
「もしかして待たせちゃいましたか? ごめんなさい」
いきなり低姿勢で謝罪してくるミナコちゃん。こちらが早く来ていただけなので、彼女は何も悪くない。真面目な顔で謝る彼女を見て、心が揺れた。
「大丈夫だよ。俺がちょっと早く来てただけだからさ」
「本当ですか? 今日は本当にわざわざありがとうございます」
ぎこちない笑みを浮かべるミナコちゃん。愛嬌を出そうと彼女なりに頑張っているのだろう。
筆者はこういった健気な態度に敏感だ。同じ負け組同士だからこそ分かる、心の機微というやつだ。
クラッ!
同病相憐れむの精神が湧いてきた。見た目がイケてないもの同士で、
お互いの傷を舐めあうようなセックスを楽しむのもアリかもしれない。
そう思い、努めて明るく振舞い、話を続けることにした。
「実物の俺はこんな感じだけど大丈夫かな?」
「えっ?」
「ほら、見るからにエロそうでしょ、俺って。こんなんで引いたりしてない?」
「ぜ、全然ですよぉ。もらった写メと同じですよ」
「そ、そう? それじゃあ、このままホテルに向かうってことでいいのかな?」
「はい。ショーイチさんさえよければ、それでお願いします」
「了解。それじゃあ、行こうか」
こうしてホテル街に向かうことになった。