「あっ、そうだ! 最初に聞いておきたいんだけど、終電は何時くらいなの?」
「えっ?」
「ほら、終電を逃したら大変だろうから、あらかじめ聞いておきたいんだ」
「優しいんですね。でも大丈夫です」
「ん? どういうこと?」
「終電がなくなっても、タクシーで10分くらいのところなので」
「へぇ、そうなんだ。俺もだいたいそのくらいだよ。道が空いていれば5分くらいで家に着くんだ」
「あっ、私もです。混んでなければだいたいそれくらいです」
新宿近辺に住んでいると聞き、ますます親近感が湧いてきた。上手く事が運べば、気軽に会ってヤレる関係になれるかもしれない。
そのためには、まずはセックスで満足してもらわなければならないだろう。いつもセックスする時は全力投球を心がけてはいるが、ますます決意を固くするのだった。
ホテル街に着き、まずは馴染みのラブホに入ってみる。しかし、すべてのパネルが消灯していて満室状態だった。
このホテルはコストパフォーマンスに優れていて、どんな女性を連れ込んでもそれなりに格好がつくのでヘビーローテで使っていたが、満室なら仕方ない。
少々値段が高くなってしまうが、近くにある抑えのホテルに向かう。そこも混んでいたが、辛うじて1室だけ空いていた。
こうしてなんとかチェックインし、部屋でふたりきりとなる。
「あっ! 安心してね。ふたりきりになっても性格が変わったりしないからね」
「フフフ。大丈夫ですよぉ。ショーイチさんて本当に気遣いが上手ですね」
「気遣いなんかじゃないよ。嫌われたくないって気持ちが先走ってるだけだよ」
「でも、そういう気持ちって嬉しいです。すごく安心できるので」
「それは良かった。だって今から気持ちいいことをするんだから、まず安心してもらわなきゃね」
「そうですよね。私も変なことしないから、ショーイチさんも安心してくださいね」
「お、おう! もちろんだよ」
ルナちゃんは、やはり男前の性格だった。女性に蹂躙されたいという願望を抱えている筆者は、この時点で「抱きたい」から「抱かれたい」という気持ちに変わっていた。
もちろん初対面の女性に「抱いて」なんて言えない。ここは紳士的にリードして、とにかく気に入ってもらえるよう頑張るしかない。