筆者の目の前に立ったメイコちゃんは、わずかに笑みを浮かべ、じっと見つめてきた。それはまるで、「そっちから挨拶してこい」と無言で訴えているようだった。
ここで踵を返して逃げようものなら、彼女の逆鱗に触れてしまうかもしれない。
彼女に背中を見せるのは危険だ!
本能的にそう悟る。こうなったら、
紳士的に接し、やんわりお断りする方向に持っていくしかない。
「こ、こんにちは。メイコちゃんかな?」
「はい。そうです」
「し、ショーイチです。き、今日はよろしくね」
「はい。こちらこそお願いします」
ハキハキと答えるメイコちゃん。出会える系サイト遊びは初めてのはずだが、こうも堂々としているのは、彼女の性格の表れなのだろう。
「ごめんなさい。ガッカリしてませんか?」
挨拶が終わると、いきなりメイコちゃんはそう切り出した。
おろっ? 自覚してるタイプか?
彼女の言う“ガッカリ”は、もちろん容姿のことだろう。こんな先制パンチを繰り出されたら、逃げようがなくなってしまう。
「えっ? 何が?」
あえて気づかないフリをして、聞いてみた。
「え、えっと、私の見た目でガッカリしてないですか?」
軽くうつむきながら、率直に答えるメイコちゃん。
あらら? 可愛らしい反応じゃん!
己を分かっていないブスは醜いが、理解しているなら可愛げがあるというもの。筆者も己の不細工さを自覚しているので、その辺の機微には長けているつもりだ。
それに、“無償の愛の伝道師”を自称するからには、メイコちゃんを救って当然だろう。