前回デートした時に、
「上京する時は俺の家をホテル代わりに使っていいからね。気軽に連絡するんだよ」
と伝えてあったが、彼女はそれを覚えていたようだ。
明後日とはずいぶん急な話だが、迷うことなく速攻でOKの返事を出した。
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こんにちは、N子ちゃん。
ありがとう! もちろん大歓迎だよ!
N子ちゃんのほうからお泊りしたいと言ってもらえて、めちゃくちゃ嬉しい!!!!
時間を気にせず、ゆっくりと愛し合えるだなんて今から待ち遠しくてたまらないよ。
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この時、筆者は彼女が来る翌日の土曜日に締め切りを一本抱えていた。いつもならのらりくらりと締め切り日に間に合わせるところだが、今回は別人のように仕事に集中。木曜には終わらせ、N子ちゃんを迎え入れる準備を始めるのだった。
ベッドのシーツを取り替え、バスタオルを用意し、部屋の隅々まで掃除機をかける。自宅マンションにセフレを呼んでセックスするのは日常茶飯事だが、N子ちゃんを迎え入れるのは初めてだった。当然、自然と準備に気合いが入る。
そして当日。約束の時間に最寄りの駅に迎えに行くと、すぐにN子ちゃんを発見。彼女は、大きめのコートにズボン姿。そして、大きなキャリーケースをゴロゴロと転がしていた。
傍から見たら、色気の欠片も感じられないだろう。しかし、この世の中で筆者だけが知っている、
脱がせたらトンデモなくセクシー!
だということを。
手を振りながら声をかけ、ゆっくりと近づいていった。
「ひさしぶり! N子ちゃん」
「こ、こんにちはショーイチさん」
「本当に今日はありがとうね」
「えっ?」
「時間を気にせずN子ちゃんと愛し合えるだなんて、すっごく嬉しいよ」
「そ、そんな。わ、私も嬉しいです」
「夕飯はまだかな?」
「い、いいえ。来る前に少し食べてきました」
「そうなんだ。それじゃあ、このまま俺の家に行こうか?」
「はい!」
筆者は夕食をとっておらず、少し空腹感もあったが、性欲の前では食欲なんて霧散してしまう。
彼女の代わりにキャリーケースを持ち、自宅マンションに向かう。いつもなら駅から徒歩5分ほどで着くのだが、彼女に歩調を合わせていたので10分近くかかった。
そして、無事にマンションに到着した。