意気揚々と歩き始める筆者。目に入るものすべてが輝いて見え、すれ違う全員がこちらを祝福してくれている気すらした。
「ところで、M美チャンは今日の泊まる場所は決まってるの?」
「あっ、はい。こちらの友人の家に泊まる予定です」
チッ!
もし泊まる場所が決まっていなかったら、お泊りデートを提案したかったのに!
まぁ、これはさすがに欲張りすぎというものだろう。いくらこちらを信頼してくれているとはいえ、いきなり一緒に泊まろうなどと提案していたら引いていたかもしれない。
いつもよりグレードの高いホテルにチェックインし、ようやく部屋でふたりっきりになった。
「やっと落ち着いて話せるね」
「そ、そうですね」
「あっ! 安心してね。いきなりガオーって襲いかかったりしないからさ」
「フフフ。はい。安心してますよ」
「ところで、エッチの気持ち良さがまだ分からないって言ってたよね?」
「は、はい」
「今まで何人くらいの男性と経験したのかな?」
「ふ、ふたりだけです」
「ふたりかぁ。その年齢なら別に珍しくないよね。相手はどんな人だったの?」
「えっとぉ…」
「具体的に教えてくれなくてもいいよ。年齢層はどんな感じだったのかな?」
「ひとりは同級生で、もうひとりは1個上の先輩でした」
「なるほどね。それじゃあ、エッチのほうはまだまだ分かってなかったんじゃないかな」
「そうかもしれませんね。ショーイチさんのコラムに出てくるようなエッチとは、まったく違ってました」
「まっ、無理もないよ。そのくらいの年の男って、とにかく射精することばかり考えているものだからさ」
「そ、そうなんですか?」
「俺もそうだったよ。相手の女性に喜んでもらいたいって思えるようになったのは、ある程度年をとってからだったんだ」
「へぇ。意外です。ショーイチさんもそういう時期があったんですね」
「あっ! でも、俺は長いこと童貞だったから、学生時代にエッチしたことはないんだけどね」
「それって本当なんですか? 女性の扱いも上手だし、優しいし、面白いし…。モテない要素なんてなさそうですけど」
「いやいや、それは誤解だって。若いころから女性を目の前にすると、エッチのことで頭がいっぱいになって本性が隠しきれなくなっちゃうんだ」
「え? 私はそんな印象受けてませんよ」
「それはね、今からエッチするっていう前提があったからだよ。だから、俺の中のスケベ心がおとなしくしていただけだよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。だから、まともに恋愛できないままこの年になっちゃったんだから」
「へぇぇ。意外過ぎます。でも、そういうショーイチさんだから、今はモテてるんでしょうね」
「いやいや、モテてないって!」
「でも、女性読者の人を何人もセフレにしてるんですよね?」
「う、うん。でも、それは恋愛というより、セックスを気に入ってもらえたってだけだよ」
「そんなことないと思いますよ。いくらエッチが上手でも、性格とか相性が良くないとまた会いたいって思わないじゃないですか?」
「そ、そうかな?」
「絶対そうですよ! もっと自信をもっていいと思いますよ」
「あ、ありがとう。こんなに褒めてもらったの初めてだよ」
「フフフ、いつもショーイチさんは褒めてばっかりですものね」
はぁぁぁ、なんて幸せな時間なんだろう。
初対面の女子大生とホテルの個室でエッチな会話ができるだなんて。しかも、今から10分後には彼女のマンコに口づけできるとは…。
しかし、ここで焦るわけにはいかない。セルフ焦らしプレイが大好きな筆者は、さらに会話を続けることにした。