【ネットナンパ】もっとして!と言わんばかりにピストンを操作する29歳の非モテOL


ぐ、ぐぬぬっ…。


 彼女の顔を視認した瞬間、背中に悪寒が走った。

 黒縁の眼鏡をかけて登場したカヨちゃん。その眼鏡の向こう側にあったのは、ふたつの切れ込み…。


おいおい、遮光器土偶かよっ!!


 ただ目が細いだけではなく、なんとも目つきが悪かった。あえて有名人に例えるのなら、元防衛大臣の石破氏だ。


なぁ、ショーイチ。たまには顔パスしたっていいんじゃね!? ここ何年も顔パスしてなかったけど、これは流石に無理筋じゃね!?


 と、内なる悪魔ショーイチが語りかけてきた。


いやいや。ショーイチみたいにイケてないオッサンから顔パスされたら、彼女は深く傷ついてしまう。向こうから顔パスだと言い出さない限り、ここは応じてあげるしかないでしょ?


 こちらは内なる天使ショーイチだ。

あぁぁぁ、いったいどうしたらいいのか。


 生唾を何度も飲み込みながら、浅い呼吸を繰り返すばかりの筆者。

 そうこうするうちに、カヨちゃんは目の前に立っていた。


「あ、あのぉ、サイトの人ですか?」

「うん。ショーイチだよ。カヨちゃんかな?」

「はいっ! そうです。良かったぁ、メールの印象通りですね」

「そ、そうかな?」

「はい。写真も貰っていたので、すぐに分かりました」

「そ、そうなんだ…」


 ハキハキとした口調で明るく畳みかけてくるカヨちゃん。

 愛嬌があると言えなくもないが、その口調とは裏腹に、彼女の目は微動だにしていなかった。

 悪い夢でも見ているような気分になってしまう。

 そんな筆者にお構いなしといった感じで会話を続けるカヨちゃん。


「今日は寒いなか、本当にありがとうございます」

「えっ、あっ、うん」

「もしかして待たせちゃいましたか?」

「い、いや。俺が早めに着いてただけだから」

「そうだったんですね。私ももう少し早く来ればよかったですね」

「そ、そんなことないよ」


 そんな会話をしながらも、心の中では


顔パスしてくれ! 顔パスしてくれ! 顔パスしてくれぃ!!


 と念じていた。しかし、残念ながらこちらの思いは通じなかった。どうやらカヨちゃんはテレパシー能力を持っていないようだ。

まっ、仕方あるまい。


 いくら容姿に難があっても、マンコに貴賤はないはずだ。それが筆者の信条でもあるのだから、己を裏切るわけにもいかない。

 彼女の容姿で無愛想だったら、速攻でクイックターンして人混みに紛れて去っていたところだ。しかし、懸命に語りかけてくるカヨちゃんに心が揺れ始めていた。


なぁに、室内を暗くすればいつも通りやれるはずだ!


 そう己を納得させた。

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