「優しいエッチが希望って書いてたけど、もう少し具体的に教えてほしいな」
「えっ?」
「どうせエッチするなら、お互いに少しでも楽しくしたいんだ。だから、アイカちゃんが喜ぶことをなんでもしてあげたいんだよ」
「す、すごいですね」
「なにが?」
「そんな風に言われたの初めてです」
「別に特別なことじゃないよ。だって、今からするのは楽しくて気持ちいいことだよね? それを少しでも多く味わいたいっていう俺のスケベ心の表れなんだよ」
「ショーイチさんっていつもそうなんですか?」
「うん! 正真正銘のドスケベだから、エッチに関しては欲張りなんだ」
「欲張りなんですか?」
「あっ、たくさんしたいとかそういうんじゃないよ。俺が気持ち良くなりたいから、アイカちゃんにもたっくさん気持ち良くなってほしいんだ」
「ほ、本当にすごいですね。そういう考え方の男性って初めてみました」
「そ、そうかな? で、アイカちゃんはどんなエッチが好きなの?」
「優しいのが一番ですけど、今日はショーイチさんに全部お任せします」
「えっ?」
「ショーイチさんの好きなようにしてほしいってことです」
「お、おう。分かったよ。それじゃあ、全力で愛させてもらうね」
「フフフ。とっても楽しみです♪」
できるだけ彼女の顔を見ないように会話していたが、不自然に顔をそむけるのも失礼なので、悟られないようにするのが腕の見せどころだった。
その後、別々にシャワーを浴び、いよいよベッドイン。
「それじゃあ、ゆっくり優しくご奉仕させてもらうね」
「は、はい」
「無理に声とか出さないでいいよ。でも、嫌なことがあったら遠慮しないですぐに教えてね」
「はい。でも、今日はショーイチさんに全部お任せしますね」
「うん。絶対に痛いことや汚いことはしないから安心して楽しんでね」
「はい!」
あらかじめ室内を暗くしておいたのだが、キスをするために顔を近づけると久本雅美の顔が浮かんできてしまう。
相手の顔が識別できないくらい真っ暗にするというのもひとつの手だが、それも良し悪し。“私の顔を見るのが嫌で部屋を真っ暗にしたのでは?”と相手に思われたらデートは台なしだ。
しかし、百戦、いや千戦錬磨の筆者は、こういう事態も慣れっこだ。
まず、顔を近づけながら瞼を半分くらい閉じて薄目にする。筆者のまつげは1本1本が太くて密集しているので、瞼を半分閉じただけで視界がかなり悪くなる。その視界の悪さがちょうどいい塩梅のフィルターになって、相手の顔が分かりにくくなるのだ。