「出会える系サイトで、実際にこうして男の人と会うのは初めてなんでしょ?」
「はい。何人かやり取りしましたけど、やっぱり怖くって」
「俺のことは怖くなかったの?」
「はい! メールの文章が優しそうだったし、写真まで送ってくれましたから」
「あ、ありがとう。それじゃあ、今日はとことん尽くさせてね」
「え?」
「俺って、とにかく女性に尽くすのが大好きなんだ。精神的なドMって感じかな?」
「そ、そうなんですか?」
「あっ、誤解しないでね。痛いのとか汚いのは苦手で、ただただ女性に喜んでもらいたいってだけだから」
「は、はい」
「だから、サキエちゃんは安心してマグロになっていればいいからさ」
「え? マグロですか?」
「うん。何もせずにベッドの上で大の字になっていればいいんだよ」
「わ、分かりました」
「サキエちゃんのほうからは何かリクエストあるかな?」
「い、いいえ。今日はショーイチさんにお任せしたいです」
「了解! 任された!! 絶対に変なことはしないから、安心して気持ち良くなってね」
「フフフ。ありがとうございます」
その後、別々にシャワーを浴び、ベッドインとなった。
ベッドの上で仰向けになっている彼女に覆いかぶさり、キスをしようと顔を近づけていく。
ん?
緊張のせいなのか、サキエちゃんの首や肩はガチガチに固まっていた。それはまるで、
初めて男と同衾する未通女のような反応だった!
このままエッチを始めるのは簡単だが、それではこちらの満足感が半減してしまう。
どうせエッチするなら、相手にリラックスしてもらい、心の底から気持ち良くなってもらわなければつまらない。
ということで、一旦顔を離し、彼女の肩や二の腕を手のひらでゆっくり擦りながら話しかけることにした。
「やっぱり緊張しちゃうよね?」
「は、はい。す、すごく久しぶりなので…」
「ちょっと深呼吸してみようか?」
「え?」
「鼻からでも口からでもいいから、ゆっくり息を吸ってみて」
「は、はい」
「そしてまたゆっくりと息を吐いて」
「スー、ハー、スー、ハー」
「そのまま深呼吸しながら目を閉じて。そしてお花畑にいるつもりになってごらん」
「は、はい」
「暑くもなく、寒くもなく、ちょうどいいお天気で身体がポカポカしてくるでしょ?」
「スー、ハー、スー、ハー」