「お待たせ。アキコちゃんだよね?」
「あっ、はい」
「さっきサイトで約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。アキコです。よろしくお願いします」
名前を名乗りながら挨拶してきたアキコちゃん。当たり前の挨拶に見えるが、出会える系サイト遊びにおいては稀だ。ほとんどの女性は偽名で遊んでいるので、挨拶で名乗ることはほとんどないのだ。
んっ? もしかして本名なのか!?
もちろん、そんなことは聞けないので、そのまま会話を続けた。
「ゴメンね。待たせちゃったかな?」
「だ、大丈夫です。私が早く来すぎただけですから」
「寒い中、本当にゴメンね。ここじゃ寒いから、そこの階段から地下に降りようか?」
「は、はい」
彼女を先導して階段を降りてから、いつもの“確認”をすることにした。
「そういえば、俺みたいなので大丈夫かな?」
「えっ?」
「ほら、俺ってスケベが服を着て歩いているような顔してるでしょ?」
「ええっ?」
「送った写メよりずっとスケベそうに見えるんじゃない? ドン引きしてても怒らないよ」
「そ、そんなことないですよぉ。すごく優しそうです!」
「あ、ありがとう。それじゃあ、このままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい! もちろんです」
そのまま地下街を通って歌舞伎町方面に向かい、いつも利用しているラブホに到着した。
部屋でふたりっきりになったところで、突っ込んだ質問をしてみることにした。
「アキコちゃんみたいに可愛くてセクシーな女性が、こういうサイトを使ってるだなんて信じられないよ」
「えっ? そ、そんなことないです」
「いやいや、すっごくモテそうだよ。会社の男性から声をかけられたりしないの?」
「き、既婚者ばかりで…。年上すぎる男性ばかりですから対象外ですね」
「ん? 年上って、何歳くらいのオジサンたちなの?」
「大体40代ですね」
ぐ、ぐフっ!!
筆者は出会える系サイトのプロフィールでは38歳ということになっているが、実際には50過ぎのオッサンだ。アキコちゃんが対象外だと断言した40代より、ずっとずっとオッサンなわけだ。この調子で年齢の話を続けるのは危険だと判断して、話題を切り替えることにした。