ここで歩く速度をわざと緩めてトワちゃんの注意を引き付けると、極力真面目そうな顔で話しかけた。
「ありがとう、トワちゃん」
「え?」
「俺みたいなのを信用してくれたんだね。その信用は絶対に裏切らないからね」
「は、はい」
ちょっと芝居がかっているが、20数年前の羽賀研二ばりに目いっぱい誠意をアピールした。
「ショーイチさんって、変わってますね」
「そ、そうかな?」
「はい。女性を扱うのに慣れている感じですよね?」
「そんなことないって。今は結構無理して頑張ってるんだよ」
「ほ、本当ですかぁ?」
「うん。街でナンパしたことなんて一度もないし、プライベートでも職場でもまったく女性に縁がないんだ」
「そうなんですかぁ」
「あっ! でも安心してね。無理はしてるけど、トワちゃんに会ってからここまで一度も嘘はついていないからね」
「フフフ。分かりました」
ようやく笑顔を見せてくれたトワちゃん。だが、油断は禁物だ。
なにしろトワちゃんにとって、これが初めての出会える系サイト遊び。射精するまで気は抜けない。エロい話題を振らず、そのまま世間話しながら歩くことにした。
ホテル街に到着し、愛用している中級クラスのラブホテルに入った。
フロント脇のパネルボタンを押し窓口でキーを受け取っていると、トワちゃんが自分のカバンをごそごそし始めた。
何事かと思ったら、財布を手に「私も半分出します」と言い出した。
「な、なに言ってるの? 大丈夫だよ。こういうのは年上の男が払うものなんだよ」
「そ、そうなんですか」
「うん。だから早くその財布をしまって」
「は、はい」
トワちゃんは、男性とラブホテルに入った経験も少ないようだ。
こんなウブなコの肉体を今から好き勝手できるなんて!
キーを受け取ってエレベーターに乗り込んだ時には、前かがみにならざるを得ないくらいギンギンになってしまった。