ちなみに、筆者は携帯電話のメモ機能に、こうしたファーストメールのフォーマットを4種類ほど登録している。相手によってそれらを使い分け、一秒でも早くアタックできるようにしているのだ。
このフォーマット文には、あえて絵文字が数か所ある。
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こんにちは。●さん。
都内の会社員のショーイチ・38歳です。
先ほどサイトで●さんの書き込みを見ました。
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この●の部分が絵文字で、メールを送る前に女性の名前に書き換えている。絵文字なので他のテキストに紛れることがなく、変換忘れすることもない。
なぜこんな回りくどいことをしているのか。その理由は、メールの文章内に相手の名前を数回は書き込んでおきたいからだ。
出会える系サイトで遊ぶ男性の多くは、ファーストメールをコピペで済ませがちだ。いわゆる下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦だ。
しかし、遊び慣れた女性はこうしたコピペメールをすぐに見抜いてしまうもの。だから、筆者は他のライバルたちと一線を画すため、この作業を欠かさない。
確かに面倒だし、10数秒ほど送信が遅れてしまうことになるが、その効果は絶大だ。出会える系サイトでの釣果が思わしくない男性読者は、是非とも参考にしていただきたい。
メールを送って数分後にサエコちゃんから返信があり、あっさり約束は成立。その日の18時に、新宿アルタ前で待ち合わせすることになった。
※ ※ ※
約束の5分前にアルタ前に到着すると、すでにサエコちゃんらしき女性が人待ち顔でキョロキョロしているのを発見。
視線を合わせないよう迂回しながらゆっくりと近づき、遠目から値踏みする。
ま、十分ありだな…。
サエコちゃんは中肉中背で、顔はタレントの関根麻里を数倍地味にした感じだった。
欠点だらけのキモメンである筆者からしてみれば、余裕でアタリの部類だ。
相手の容姿が化け物級じゃなかったことに一安心。ここから迂回せずに最短距離で彼女に近づいていき、声をかけた。
「こんばんは、サエコちゃんだよね?」
「あっ、はい。そ、そうです」
「さっき約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。こちらこそお願いします」
そう言いながらペコッとお辞儀するサエコちゃん。28歳のOLなので、一応礼儀はわきまえているようだ。
しかし、その視線は泳ぎっぱなしだった。