ナツミちゃんはすでにベッドにもぐりこんでいて、かけ布団から頭だけをチョコンと出して待っていた。
「歯を磨いて手を洗うから、ちょっと待っててね」
そう声をかけてから念入りに歯磨き。そして、熱めの温水で手を温めながら指先から手首まで丁寧に洗った。
その様子を見ていたナツミちゃんが声をかけてきた。
「ショーイチさんって、キレイ好きなんですね?」
「そんなことないよ。普段はこんなに手を洗ったりしないもの」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。でも、エッチの前に徹底的に綺麗にするのは礼儀として当然でしょ?」
「そうですよね。でも、私、ちょっと自信ないかも…。もう一回私も歯を磨いていいですか?」
「大丈夫だって。俺がこだわってるだけなんだから、あまり気にしないで」
「は、はい」
やはり元風俗嬢だけあって、男の清潔度チェックに余念がない。筆者は日頃から手の爪を深爪状態にしているのだが、彼女はとっくに気づいていそうだ。
これで準備完了。筆者もベッドの上にあがり、いよいよベッドイン。
だが、待てよ…。
ここでいきなり大の字になって、主導権を彼女に渡すのはなんともカッコ悪い。まずは、こちらから攻めたほうがいいだろう。
「じゃ、最初は俺のほうからご奉仕させてね」
「えっ? ご奉仕ですか?」
「うん。攻めるって言葉、あまり好きじゃないんだよね。なんか勝ち負けを競ってるみたいで。それに、俺って精神的Mだから、女性に尽くすのが大好きなんだ」
「フフフ。変わってますね」
「うん。それじゃあ、いいかな?」
「はぁい。お任せしますね」
彼女の了承を得てからヘッドボードのパネルを操作し、室内を薄暗くした。
いくら筆者より10歳年下とはいえ、40歳のナツミちゃんの顔を明るい照明の下で間近に見る勇気はなかった。
※ ※ ※
軽めのキスから始め、徐々に舌を使い始める。そのタイミングに合わせて、ナツミちゃんも舌を使いだした。
阿吽の呼吸というヤツだ。
彼女がどのくらい風俗嬢として働いていたのかは分からないが、それなりに経験を積んできた証だろう。