デート当日。13時に新宿アルタ前で待ち合わせだったので、早起きした筆者は念入りに身体を洗い、爪や髭を整えて家を出た。
バスで新宿に向かっていると、K子ちゃんからメールが届いた。
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今、新宿に着きました。
アルタの中でぶらぶらしていますので、お近くに着いたらご連絡ください。
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このメールを貰ったのは12時40分。K子ちゃんは20分も早く到着してしまったようだ。こちらはバスに乗ったばかりで、アルタに到着するまで10分以上かかる。
これは完全に筆者のミスだ。K子ちゃんの逸る気持ちを見越し、約束の30分前には到着しておくべきだった。
その後、バスは順調に進み、約束の10分前にアルタ前に到着。すると、貰った写メより遥かに若くて可愛らしいK子ちゃんをすぐに発見した。
小走りで彼女に駆け寄り、声をかける。
「ゴメンね。待たせちゃったね」
「い、いえ。私が早く来すぎただけなので」
「あっ! 挨拶がまだだったね。初めまして、K子ちゃん。ショーイチです」
「は、初めまして」
「なんか変な気分だね。お互いに顔を知っていたのにね」
「そ、そうですね」
「どうかな? 実物の俺を見てがっかりしていない?」
「え?」
「ほら、よく見てごらん。K子ちゃんが今まで出会った男性の中で、一番スケベそうな顔をしてるでしょ?」
「そんなことないですよ。貰った写メのまんまで、すごく優しそうです」
「ありがとう。でも俺はビックリしたよ」
「え?」
「だって、K子ちゃんは写メと全然違うんだもの」
「えっ?」
「写メより実物のほうが256倍は綺麗でセクシーだよ」
「や、やだ。褒めすぎですよ」
「今さらお世辞なんて言わないよ。ただ思ったことをそのまま口にしているだけだよ」
「もう、本当に女性を気持ち良くさせるのが上手ですね」
「上手とかじゃないよ。正直なだけなんだよ」
「フフ、正直者のショーちゃんでしたっけ?」
「う、うん。それって、俺がメンズサイゾーに書いてたよね」
「はい。まだ全部読んでないですけど、バックナンバーも読み込んでますよ」
「あ、ありがとう。期待に応えられるかどうかは分からないけど、絶対にK子ちゃんに嫌な思いはさせないから安心してね」
「はい! それはもう絶対に信じてます」
「そ、それじゃあ、このままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい。よろしくお願いします」
こうして、歌舞伎町のホテル街に向かって歩き始めることになった。相手は人妻さんなので、万が一彼女の知り合いに見られても大丈夫なように、一定の距離を保つことを忘れない。