待ち合わせ場所では先手を取られペースを乱したが、冷静さを取り戻し、ここで改めて彼女の容姿を確認することにした。
アイカちゃんの顔は、かつて女子バレーで人気を博した「メグカナ」の大山加奈に似た、清潔感あふれる可愛い感じだった。
髪型は、モード系のお店で働く女性店員を想像させるショートヘアー。うなじの部分がうっすらと刈り上げられていて、80年代中盤にヒットした「夜霧のハウスマヌカン」を思い出してしまった。
ブティックの店員に憧れて…なんてことないだろうし、体育系の部活に所属していた可能性が高そうだ。
そこで、ちょっと遠回しに探りを入れてみることにした。
「アイカちゃんの歩き方って、カッコイイね」
「えっ? そうですか?」
「背筋がピンとしていて、絵になってるよ。何かスポーツでもしてたのかな?」
「今はしてないけど、高校の時は陸上部でした」
「そうなんだぁ。足が長いから走るのも速そうだね」
短い髪は、やはり部活動のためだったかと納得した。
それはさておき、後頭部を刈り上げている女性を見ると、筆者はどうしてもワカメちゃんを連想してしまう。
だから、そういう女性とエッチをする時は、なるべく刈り上げを見ないですむ体位を選択していたりする。
「ショーイチさんって、女の子としゃべるの慣れてそうですね」
「ど、どうしたの急に?」
「だって、会話が途切れないじゃないですか」
「これでも頑張ってるんだよ。普段は女の子しゃべる機会なんてほとんどないんだから」
「えぇっ、そうなんですか?」
「うん。仕事の間はずっとパソコンの前に座りっぱなしだから、本当は人としゃべるのが苦手なんだ」
「ウッソ、全然そんな風に見えないですよ」
「もし俺がずっと黙ってたら、不気味で怖いでしょ?」
「そ、そうですね」
「だから、頑張ってるんだよ」
「フフフ、でもあまり無理しなくていいですからね」
「うん。ありがとう」
アイカちゃんとの年齢差は30歳以上あるが、会話の端々でタメ口が出始めていた。これは、こちらに気を許してくれた証拠だろう。
こんな会話をしているうちにホテル街に到着。いつも利用している中級クラスのラブホテルにチェックインして、部屋でふたりきりとなる。
「ところで、アイカちゃんはこういうサイトでよく遊んでるの?」
「遊んでないです」
「えっ? じゃあ、遊ぶのは俺が初めてなの?」
「サイトに登録したのは今年の4月なんだけど、なんか実際に会うのは怖くて…」
「うん、うん。見ず知らずの男に会うんだから、怖いと思うのは当然だよ」
「ですよね。何度か募集したんだけど、どうしても会う気になれなかったんです」
「そうなんだぁ。でも、どうして今日は俺に会う気になってくれたの?」
「だって、優しそうだし…。それに画像も送ってくれたから…」
「それで安心そうだと思ってくれたんだ?」
「そういうことですね」