5分ほど経ったころ、アイカちゃんから返信が届いた。
よっしゃ! 今日も勝ったぜ!
並みいるライバルを蹴散らし、勝利を確信。ここまで来たら、ほぼ100パーセントの確率で会うことができるからだ。
さっそく写メ付きのメールを送り、サクッと約束が成立した。
なんだかんだ言っても、10代の女の子の書き込みを目にすると、条件反射的に指先が動いてしまうなぁ…。
待ち合わせ場所は、新宿アルタ前。約束の数分前に到着し、すぐにアイカちゃんらしき女性を発見した。
実は、彼女のプロフィールページに「身長170~174cm」とあり、案の定、周囲より頭ひとつ大きくて目立っていたのだ。
まっすぐアイカちゃんに近づいていくと、途中で彼女と目が合った。どうやら向こうもこちらのことを見つけてくれたようだ。
そのまま彼女の目の前まで行き、声をかけようとする。しかし、先手を取られてしまった。
「あっ! ショーイチさん?」
「う、うん。アイカちゃんだよね? よく俺だって分かったね」
「だって、貰った写メのまんまじゃないですか。すぐに分かりますよ」
「そ、そっかぁ」
「ショーイチさんこそ、よく分かりましたね」
「メールで服装を教えてもらっていたから、一目見て分かったよ」
本当はズバ抜けて高い身長のおかげで分かったのだが、もちろん、そんなことは伝えない。もし彼女が高い身長にコンプレックスを感じていたら、傷つけてしまうことになるからだ。
しかし、こちらのそんな気遣いは、無用だった。
「フフフ、それにこの身長ですからね。やっぱり目立ってました?」
「うーん、いい意味で目立ってたよ。モデルさんみたいだからさ」
「モデル? それ褒めすぎですよぉ」
かなりノリのいいアイカちゃん。身長のことは一切気にしていない様子だった。
会話中、さりげなく彼女の足元を確認すると、ほとんどヒールのないぺったんこな靴だった。
その状態で筆者より少し背が高いということは、実際の身長は172から174センチくらいか。もしヒールの高い靴だったら、見上げてしまうくらい身長差があったはずだ。
「ここで立ち話もあれだから、歩きながら話そうか?」
「はぁい」
こうして、アルタ前を離れ、ホテル街に向かって歩き始めた。